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若手と大人の「セッション」が組織の要(佐々木明子)

テレビ東京アナウンサー・佐々木明子のニュースな日々

「もっとだ、もっと燃えろ」

新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、外出も控えめにして、かなり気を使って過ごしてきたが、久しぶりにライブで音楽を聴きに出掛けた。日本を代表する世界的なジャズトランペッターの日野皓正氏。今年で80歳を迎えるジャズ界のレジェンドだ。

それはいきなり始まった。トランペットの強く強く空気を裂くような音が客席にぶつかり、あっという間に彼の世界に引き込まれた。バックバンドは20代から30代の、次世代を担う若手実力派。彼らからすれば、半世紀以上もジャズ界に君臨するレジェンドとのセッションだ。高揚感はどれほどか。

彼らは日野さんの一挙手一投足に一瞬たりとも目を離さず、呼吸を合わせていく。ひたむきな熱いまなざしに、尊敬が見て取れる。若手とベテランの激しい攻防戦。

そんな若者の熱を楽しむかのように彼はあおる。もっとだ、もっと、もっと燃えろ。手を回し、どんどんあおる。ドラマーは、それに応えるように激しくドラムを叩き続ける。顔をゆがめ、全身で。目にも止まらぬスティックさばきに会場は沸く。次はギターだ。次はピアノ。日野さんは手を回し続け、次の瞬間、彼の太く炸裂するトランペットが会場を圧倒した。若者たちはすっと身を引いた。

若いエネルギーとベテランの重み、それらが織りなす音楽は、ベテラン同士の艶やかさとはまた違う緊張感があり、互いに刺激し合いながら高みを目指す気持ち良さがあった。

ソニー出井さんから学んだこと

このやり取りこそ、今求められるものなのかもしれない。大人が若手を引き上げて育て、自らもまた成長しようとしていく。世の厳しさと生きる喜びを経験した大人たちはこうありたいものだ、とその姿を見て痛感した。

思えば、6月に亡くなったソニーの元CEO(最高経営責任者)の出井伸之さんもそうだった。公私共にお世話になり、書き記せないほど人生訓をもらった。志を持つ若者が大好きで、新しい技術と聞けば、すぐに飛んで見に行き、アドバイスし、成長をサポートし続けていた。そして、若きスタートアップ経営者に必要な存在は実は"年老いたサラリーマン"だ、とシニアに伝えようとしていた。

彼らはスタートアップに不足している企業のコンプライアンス、ガバナンス、資金調達法など知恵を持っていて、貴重なアドバイザーになり得る存在なのだと。

若者を育て支え、そして大人も共に輝いていく。そんなセッションがたくさん生まれれば、音楽界だけでなくビジネスの世界でもフュージョンを巻き起こすことができるかもしれない。

最近のMy News「物価高での戦い方を模索中」

スーパーで買い物をして驚いた。物価上昇がきつい。長いデフレ時代に慣れてきた日本人として、対処法を考えよう。まず、自分で野菜を育てる。余計なものを買わない。サブスクを整理する。部屋に飾る生花はドライフラワーにしよう。ふむ。実践すれば、結果的にとてもエコな生活に思えてきた。

「佐々木明子のニュースな日々」は、国内外の経済やマーケットの動きを伝えるテレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」のメインキャスターを務める佐々木明子さんが、金融・経済の最前線の動きや番組制作の裏話などをつづるコラムです。

[日経マネー2022年11月号の記事を再構成]

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