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趣味の世界は奥深い 予算意識しとことん付き合う

趣味と生きがいのお金(3)

今月は趣味について、ファイナンシャルプランナーの目線からお金の問題を意識しながら考えています。現役時代の趣味予算は総額2000万円にもなりうること、複数の趣味をコストを意識しつつ楽しむヒントなどを紹介してきました。

今週も、趣味を楽しむヒントを紹介しましょう。

趣味との「出合い」には少しコストをかける

きっかけは偶然の出合いでも、一生の財産となる可能性があるのが趣味の面白さです。私の街歩きの趣味が本格化するのも偶然でした。先に自分の趣味を見つけては熱中した妻が家に不在がちで暇だったので、ある週末、気まぐれで東京スリバチ学会の街歩きに参加したのです。

もともと民俗学や近代建築、路上観察などに興味があったのですが、あのとき勇気を出して初参加したことで街歩きという趣味が具体化し、たくさんの友人を得て長い趣味の道が開けました。

趣味には「出合い」が必要です。

もし趣味が見つからないと悩んでいるなら、気軽にチャレンジしてみることです。新聞社や出版社、テレビ局のカルチャースクール、大学や博物館、郷土資料館等のセミナー案内を手に取ってみます。地域の広報物にも目を通してみましょう。

何かおもしろそうなテーマがあれば冷やかし気分でかまわないので受講してみます。たいてい数千円の予算で収まります。もしかしたら数十年続く趣味の第一歩になるかもしれません。

受講をしてみて、向いていないなと思ったらすぐやめてかまいません。3回セットの3回目はサボっても、誰もあなたが欠席したことを気にしませんし、とがめたりもしません。お金が戻ってこなくても数千円なら安いものです。

いい趣味、いい先生に出合えればラッキーだと思うくらいが趣味探しには向いています。趣味の一歩目は気楽に踏み出してみてください。

ソロ活とグループ、バランスを意識

近年、「ソロ活」という言葉が流行しています。ひとりで活動する趣味という意味合いです。旅行ガイドやタウン情報誌が「おひとりさま」をターゲットに出版していて、よく売れているそうです。ひとりで旅行や観光に出かけたりレストランに行ったりするようなスタイルが注目されています。

おひとりさまも家族がいる人も、「ソロ活」を意識すると人生の豊かさが広がります。小さな子どもが今は自分と遊んでくれても、いつかは離れていきます。老後は夫婦で二人きりの時間を過ごすといっても24時間同じ趣味を二人で楽しむわけにもいきません。

あまりお金がかからず、コツコツ長く続けられるような趣味が見つかれば、子育て中も子どもが巣立ったあとも楽しめます。

ソロ活を楽しむのは、おひとりさまにとっても大切なことです。誰かと時間調整しなくても楽しめる趣味があれば、たくさんある自由な時間を有意義に過ごすことができます。

一方、おひとりさまは予算を無制限にしてソロ活してしまうリスクに注意したいところです。家族がいるとおのずと予算に制限ができますが、おひとりさまのソロ活は自分で自分の趣味予算を抑えなければなりません。家計の収支バランスを意識しておきましょう。

ソロ活を意識したうえで、グループでの趣味も楽しめると、より趣味の彩りが増してきます。同じ趣味も「ひとりで街歩き」と「みんなと街歩き」のように、ソロ活とグループ活動とをまたがって展開することで、また違った世界が広がってくるのです。

趣味の難問「ロス」と意識的に向き合う

ところで、趣味の難問のひとつに「ロス」があります。NHKの朝の連続テレビ小説が終わると「○○ロス」がネットで話題になりますが、終わりがある趣味で味わう喪失感は思った以上のダメージになります。

ペットロスという言葉が市民権を得つつあるのも、長年一緒に時間を過ごした愛犬との別れが、まさに家族との別れと同様のつらさをもたらすからです。

「リタイアしたら東海道を京都まで歩いてみたい」とか「お遍路さんをやってみたい」のような趣味もいつか終わりがきます。達成感のあと、気が抜けてしまうことがあります。これもまさに「ロス」です。

趣味や生きがいは人生を豊かにするアクセントです。仕事や家事をして眠るだけの日々では人生は味気ないですが、趣味や生きがいを持つことで大きな達成感を得られます。しかし、趣味が喪失感を招くリスクも知って、意識的に備えておきたいものです。

終わりがある趣味はその「終わり」と向き合う覚悟をしておくこと、また「次」を見つけていくことを考えておくといいでしょう。「ペットロスの悲しみが、将棋に集中することで和らいだ」とか「東海道はそろそろ踏破するから、次は中山道にチャレンジだ!」と考えておくわけです。

複数の趣味を推奨するのも、趣味のすべてが終わらないようにする工夫でもあります。人生のすべてをひとつの趣味につぎ込まなくてもいいのです。

長く楽しむためにお金を賢く使う

今週はアラカルト的に「趣味とお金」のヒントをまとめてみました。趣味の入り口、ひとりで楽しむ趣味、趣味の終わり――それぞれお金のことも意識すると、上手に趣味と付き合えるようになります。

趣味はいろいろな側面がありますが、最終的には予算の問題になります。何でもやりたいことをやるのではなく、一定の制限を自分に課すのが大人の趣味の楽しみ方です。

ときには高額予算を設定して趣味にのめり込むのもいいでしょう。かといって、趣味に溺れるがままに出費をして、家計が破綻するのは困ります。

子どもの趣味は、長い人生を見据えて向き合うというよりは、その場の流行に左右されて次々と乗り換えていくこともあります。予算もおこづかいやバイト代の範囲内です。

しかし大人の趣味は、自分の家計全体をにらみつつ趣味予算をコントロールする必要があります。費やす時間も仕事や家事育児とのバランスをみてマネジメントします。そしてときには数十年以上、長い時間をかけて付き合います。

長い人生では時々、空虚感やストレスが襲いかかってきます。それを払ってくれるもののひとつは、趣味や生きがいではないでしょうか。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「日本版FIRE超入門」(ディスカバー21)など。http://financialwisdom.jp

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ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏が若年層に向けて、「幸せな人生」を実現するためのお金の問題について解説するコラムです。毎週月曜日に掲載します。

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