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お金のトラブル、ネット経由で多発 若者被害の実態

お金のトラブル 撃退マニュアル(中)

成年年齢引き下げで最も懸念されるのは、若者が金融トラブルに巻き込まれ被害に遭うことだ。悪質商法の被害に遭わないために、トラブルの実例を知っておこう。

国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられる金融トラブルなどの相談は、未成年より20代が多く、契約金額も大きい。未成年にはあまり見られない内職や副業に関するものや、投資商品などの儲け話に関する契約を巡るトラブルが目立つのも20代の特徴だという。ということは、この4月に新たに成人になった18歳、19歳にも、こうしたトラブルが広がることは想像に難くない。

「簡単に儲かる」が危ない

消費者事件を多く手掛ける中村弘毅弁護士も、「若年層は副業・投資指南などの儲け話系の消費者被害が多い」と話す。「コロナ禍でアルバイトが減ったりなくなったりした学生や、残業代が減った若いサラリーマンなどがお金に困って、自宅で短時間に稼げる方法はないかとインターネットで『副業』を検索して、詐欺的な副業を集めたサイトに行き当たるといった事例が群を抜いて多い」(中村弁護士)

国民生活センターに寄せられた事例では、「『チャットで相談に乗るだけのアルバイト』にアクセスしたら、報酬を受け取るための手続き料を次々支払わされた」「『レンタル彼氏』に登録したが収入は得られず、サイト利用料だけが毎月かかった」といった、副業・アルバイトを装った事案が多い。届いた荷物を転送するだけで1件当たりいくらという報酬が支払われるというアルバイトに応募して運転免許証や健康保険証の画像をメールで送ったら、自分名義で勝手に携帯電話を購入されてしまったという「荷受け代行」「荷物転送」という手口も目立つ。「簡単なアルバイト」は怪しいと警戒すべきだろう。

「『すぐに儲けられる』とうたった情報商材や金融商品を買わされてしまうトラブルも多い」(中村弁護士)。FX(外国為替証拠金)取引や、為替などの変動を予測して利益を得るバイナリーオプションで、「AI(人工知能)が売買タイミングにアラームを鳴らすのでそれに従って取引すれば必ず儲かる」と言われて自動売買のソフトが入ったUSBメモリーを買ったが、実際には儲からなかったり出金できなかったりするといったケースだ。この手口には株や暗号資産の取引、アフィリエイトなどの例もある。

「会員になると投資で資産を増やすための勉強会に参加でき、専任のコンサルタントのアドバイスも受けられる」と言われて会費を支払ったが、勉強会やアドバイスは経済の一般論や市販のハウツー本程度だったというケースや、就活がうまくいっていない学生を狙った「就活に成功するためのセミナー」を装うケースもあるという。

借金をさせられることも

情報商材の購入や勉強会の会費は数十万~100万円程度に設定されていることが多いが、通常、若者にはそんな大金はない。払えないと伝えると「留学前の英会話学校」とか「合宿免許」の費用と言えば銀行から借りられる、といって借金を勧める業者もあるという。こうしたケースでは、多額の借金を背負うことになるのみならず、金融機関をだました自分自身が罪を犯すことにもなってしまう。借金返済に困ると、友人を勧誘して契約させれば仲介料を支払うからそれで返済すればよいと勧める「後だしマルチ」という手口もある。

虚偽の借入理由でお金を借りさせて契約を結ぶのは明らかな悪質商法なので、借りる前に踏みとどまることが重要だ。

ネットがトラブルの入り口

若年者をターゲットにした悪質商法のほとんどは、インターネットが入り口だ。「『副業』や『ラクに稼げる』と検索して悪徳業者に引っ掛かったり、SNS(交流サイト)で知り合った相手を信じて、だまされたりするケースが目立つ」(中村弁護士)。何度か会った異性に宝飾店などで高額な買い物をさせられる昔ながらの「デート商法」も、マッチングアプリで相手と知り合うのが主流だという。

インフルエンサーのインスタグラムなどに載っている広告がきっかけになっているケースも多い。例えば、年齢を問わずトラブルが多い化粧品や健康食品などの「定期購入」、エステや全身脱毛などで「初回無料」に引かれて行ってみたら終了後に有料コースをしつこく勧められて無理やり契約させられる、といった美容系トラブルもネット広告が入り口になっている。

業者の勧誘方法も、かつてのように大々的に広告をするのではなく、「ネット上の広告はただの副業紹介で、興味を持った人にはLINE登録を促して概略を伝え、詳しいことはLINEの音声通話で説明する、というように、業者が具体的な証拠を残さないようになっている」と中村弁護士。ユーチューブ動画による勧誘も増えているが、「動画では利益が保証されているなどとは明言せず、派手に稼いでいる雰囲気だけを伝えてその気にさせるなど、手口が巧妙化している」と指摘する。

勧誘やその後のやり取りも全てネット上で行われると、トラブルに巻き込まれても親や周囲の人が気付きにくい。万一子供がトラブルに遭遇した時、1人で抱え込まずに家庭内で相談できるような関係をつくっておくことが大切だ。

(ファイナンシャルプランナー 馬養雅子)

[日経マネー2022年6月号の記事を再構成]

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