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高い利回り、価格上昇も? 債券投資はこう組み入れる

利上げで妙味拡大 債券投資入門(1)

コロナショック後の世界的な低金利で、投資家の目を引く商品ではなくなっていた債券。しかし最近、投資妙味が増している。潮目が変わった理由が米国の金利上昇だ。インフレを受け、米連邦準備理事会(FRB)は2022年に0.75%の大幅な利上げを4回連続で実施。米国債の利回りは急上昇した。この「債券投資入門」では、5回に分けて債券投資のツボを探っていく。

債券の利回りが上がっている。例えばあるネット証券のサイトでは、3月中旬時点で3〜4%程度の利回りの米国債が並んでいる。日本でも、個人向け国債の適用利率が上昇。金利が実勢に基づいて変動する満期10年の「変動10年」は、4月発行分の適用利率が0.33%で、長らく0.05%付近で張り付いていた状態から脱出した。昨年末に日銀が長期金利の上限を引き上げた影響がじわりと波及しているのだ。

債券価格の動きにも注目

利回りだけでなく債券の価格に注目しても、日本の個人投資家にとっての好機が訪れている。金利が上がれば債券価格は下がり、金利が下がれば債券価格は上がる。米国の金利は近年まれに見る高水準だが、今年に入ってFRBの利上げ幅は0.25%に縮小しており、債券価格が下がる余地は限定的と期待する声もある。利下げに転じれば債券価格は上がる。その場合、今のタイミングで米国債を購入すれば、高い利回りを受け取りながら債券価格の上昇が見込めるかもしれない。

一方、日本では金利が上昇するという見方もある。仮にそうなったとしても、個人向け国債は1年以上保有すれば元本割れがない。変動10年なら、金利上昇時は「適用利率が上がる」というメリットはあっても、「金利が上がれば債券価格が下がる」という心配はない。現在の日米の金利環境は、米国債、日本の個人向け国債のおいしいとこ取りができる状況だ。

ポートフォリオは債券を中心に考える

「債券投資を中心に考えれば、自分に合う資産ポートフォリオを誰でも簡単に組むことができる」。ファイナンシャルプランナー(FP)の前川貢さんはこう話す。ポートフォリオを組むステップは次の通りだ。

まずは資産のうち、「すぐに使える流動性を確保したいお金」を仕分けする。急な出費に備えて、生活費の半年分などを目安に現金を確保しておくのも一案だ。

普通預金の低金利に満足できない人は、ここから「流動性」と「目指したい利回り」を考えながら、債券に資金を振り分ける。そして、残った資金を株式などのさらにリスクの高い資産に充てる。

「迷ったら、個人向け国債の変動10年を投資先として優先したい。元本割れリスクや為替リスクがなく、『1年間売却できない』という点以外はデメリットが見当たらない」と前川さんは助言する。

「もっと高い利回りを安定して得たい」「長期ですぐに引き出せなくても大丈夫」というお金は、米国債券に投資するのも手だ。ただし米国債は、為替リスクなどを考慮して最適な投資タイミングを計ることが難しい。FPの深野康彦さんは、「償還までの保有が基本となる」とアドバイスする。余裕資金で投資したい。債券価格の上昇をピンポイントで狙うのなら、債券型ETF(上場投資信託)も活用できる。

(大松佳代)

[日経マネー2023年5月号の記事を再構成]

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