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動く株価に固める守り 「全員iDeCo」へ準備OK?

知っ得・お金のトリセツ(78)

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家計が春の嵐にもまれている。新型コロナウイルス禍、地政学リスク、資源高、米利上げ開始、円安、株価下落………。次々襲う大波に、投資の大海にこぎ出したばかりの初心者は青ざめているかもしれない。でもこの値動きこそが投資というもの。

日本株は上下2割ぐらいは普通に動く

闇雲に恐れる必要はない。値のブレ、すなわちリスクこそがリターンの源泉。例えば日本株はおよそ5%半ばのリターンを中心にプラス3割弱からマイナス2割弱まで動くのが普通(確率約3分の2)の資産だ。逆に言えば3割以上値上がりする確率も、2割弱以上下落する可能性も結構ある(確率約3分の1)わけだ。さらに決定的に重要なのが「テールリスク」。発生確率はわずかでも、実際起きると暴騰・暴落を招くジョーカーは常に存在する。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は上記の数字を使い、テールリスクも勘案した上で基本ポートフォリオを組んでいる。

「まさにテールリスク?」と思わないでもない局面だが、今できることは少ない。懸命に考えても先行きの予測はどうせ当たらない。過去数々の歴史的な下落局面を経て編み出された先人の知恵、「長期・分散・積み立て投資」の有効性を信じて進もう。荒波の上ではジタバタしないことが上策だ。

家計強化につながる「3月ネタ」といえば…

一方、身の回りの家計には、手を付けさえすれば確実にリターンが得られる手段がある。1つ1つは小さくても集まれば家計のレジリエンス(強じん性)が高まる。と、いうことで3月中旬という今のタイミングならではの家計強化ネタといえば? 

はい、もちろん確定申告。14日には申告期限直前に国税庁の電子申告・納税システム「e-Tax」で障害が発生し混乱したが、お金を返してもらう方の還付請求には毎年の締め切り期限は関係ない。医療費控除や寄付金控除(ふるさと納税)、住宅ローン控除の1年目など申告をすれば、払いすぎた税金が返ってくる。しかも結構素早い。所得税の還付金は2~3週間で入金される。去年は該当しなくても時効は5年。思い当たる年の医療費などさらってみる価値はある。

年に一度の見直しチャンスの人も

そしてもう1つの季節ものが「確定」つながり、確定拠出年金(DC)だ。具体的には会社の規約次第だが、この時期に企業型DCの加入や資金拠出に関する締め切りを迎えている人もいるだろう。見直しタイミングは年に一度春のこの時期という会社もある。そこで問題になるのが今年10月に迫った「全員iDeCo」時代への対応だ。現在企業型DC導入企業の大部分では個人型であるiDeCoを併用することはできない。それが法改正を経て10月以降、およそ750万人もの会社員に門戸が開かれるのが基本だ。だが、あらかじめ今準備しておかないと実務上、10月になって「え、 入れないの?」という事態もありうる。

例えば最近導入例が増えている給与減額方式の「選択制DC」の場合。企業型DCの上限額の範囲内で給与としてもらうか、DC掛け金に回すかを会社員本人が選べる。基本的にはDCに回した方が、その部分にかかる税金と社会保険料の圧縮につながりお得だ。といって上限ギリギリまでDCに回す選択を今すると秋になってiDeCoに回す「枠」がないことになる。非課税枠は無尽蔵ではない。DCのみの会社で月5.5万円、他に確定給付型年金(DB)などもある会社なら月2.75万円だ。「企業型DCの上限額」「iDeCoの上限額」さらに「会社掛け金」という3つの変数で自分が出せる額も変わってくる。どうしても10月にいち早く「iDeCo、始めました」と言いたい選択制DCの会社員はこの春、わざとDC掛け金に回す金額を下げて半年後のiDeCoのために枠を空けておく必要があるわけだ。

企業型も個人型も、DCは税優遇を享受しつつ自然に長期積み立て投資が可能になる優れた投資の器だ。値動きが大きい高リスク商品で運用すれば、特に下げ局面で購入数が増え平均取得単価を引き下げる効果が見込める。荒れるマーケットに悩みは尽きない。いっそ「DCの最大活用」を出発点に資金フローを見直してみてもいいかもしれない。

山本由里(やまもと・ゆり)
1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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