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円安で妙味が増す金投資 プロに聞いた賢い買い方

実物投資で稼ぐ(中)

インフレ下で妙味を増している実物資産投資の動向と注意点を紹介する本企画。2回目となる今回は、金への投資について識者に話を聞いた。

不動産を買うほどまとまった資金は用意できないが、インフレ対策で実物資産を保有したい――。そんな人にとって、金投資は有力な選択肢だ。

金は主に宝飾品向けとして世界的な需要を見込むことができ、ドルなど法定通貨の代替資産として意識されやすい。金価格と連動するように設計された投資信託やETF(上場投資信託)もあり、それらを活用すれば100円や数千円などの少額から金投資に取り組むことも可能だ。

日本人にとっての投資妙味

しかしながら、足元の金価格は振るわない。ニューヨーク市場の金先物の価格は2022年3月に1トロイオンス2000ドル超の高値を付けた後、1700ドルの水準にまで落ち込んだ(9月上旬時点)。

こうした金の値動きの背景にあるのは、米国の金融政策の動向だ。「利息が付かない」ことが金の欠点だが、コロナ禍で各国で低金利政策が広がり、金の投資妙味が見直される動きがあった。巨額の財政出動によって法定通貨の価値が目減りする懸念も、金の価格を押し上げた。ところが、今年に入って米国の利上げやドル高が進み、金相場は軟調に転じた。

こうした情勢でも、エモリファンドマネジメント代表の江守哲さんは、「日本人投資家にとっては金投資の妙味はある」と語る。円安が続く前提であれば、インフレヘッジと代替通貨の両方の側面でメリットが生じるからだ。

楽天証券経済研究所のコモディティアナリスト、吉田哲さんはウクライナ危機の長期化にも着目する。実物資産の裏付けがある金は「有事の安全資産」ともいわれ、戦争や災害などで世界的にリスク回避姿勢が高まると買われる傾向にある。「市場参加者の"不安"を起因とした金の需要は今後も増えるとみている」(吉田さん)

今後の金価格を読む上で鍵となるのは、米連邦準備理事会(FRB)の利上げの動向だ。江守さんは、「過去の実績を見ると、米10年国債利回りがピークを迎えるタイミングの半年前に金価格が上昇し始めている。つまり、利上げが終わるのを皆が織り込み始めた時に金が買われる」と話す。

また吉田さんは、「ウクライナ危機で株価が不安定化し、景気後退のムードが強まれば、株や不動産の代替としての金に耳目が集まる」との見方を示す。

株を買ったら金も買い増す

金投資をしたいのならば、現物の地金を買うという方法もあるが、一般に最も小さいサイズである5gでも4万円程度が必要だ(9月上旬時点)。さらに数千円の手数料がかかるケースもある。手数料がかからない500gなどで投資したいのならば、400万円程度(同)を用意する必要がある。

「初心者であれば、積み立てのほったらかし投資が取り組みやすい」と吉田さん。これには貴金属会社やネット証券の純金積み立てや、金価格に連動する投資信託などを活用する手がある。運営会社などが保管するため、保管コストや盗難リスクが抑えられる。

江守さんは、手数料の小さい投資信託やETFで少しずつ買い続けることを勧める。総資産の5~10%程度が保有の目安だという。「一度買って満足せず、例えば株式を買うタイミングなどでアセットクラス(資産分類)のバランスを見て、買い増していく癖を付けておきたい」(江守さん)

個人が取り組みやすい金投資


①純金積み立て
大手ネット証券なら月1000円からの積み立てが可能。g単位での定量購入もできる。現物に裏付けされている安心感があり、一定以上積み立てると現物との交換も可能。ただしコストはETFや投信よりも高めになる。

②ETF・投信
投信は100円から、ETFは数千円から投資できる。手数料を抑えて少額から投資することが可能。ETFでは難しいが、投信であれば自動積み立てに対応しているものもある。現物交換はできないケースが多い。

(大松佳代)

[日経マネー2022年11月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年11月号 インフレに勝つ資産強化入門
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2022/9/21)
価格 : 750円(税込み)
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