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ハードル下がった不動産投資 プロが語る物件選びのコツ

実物投資で稼ぐ(上)

インフレ下で妙味を増しているのが実物資産への投資だ。大きな値上がり益が狙えるが、株式投資とは異なる特有の注意点もある。①不動産②金③コイン・アート・お酒という代表的な商品への投資について、足元の動向と投資に際しての注意点を識者に聞いた。3回に分けて紹介する。

賃料収入というインカムゲインが得られ、インフレ対策として注目されるのが、不動産投資だ。

収益物件の情報サイト「健美家」を運営する倉内敬一さんは、「不動産や土地などの資産が手に入ることや、物件が値上がりすればキャピタルゲインを得られることも大きい」と、インフレ下でのメリットを語る。ローンを組んで投資すれば、少ない資金で効率的に収益を上げられる可能性もある。

ファイナンシャルアカデミー不動産投資スクール講師の束田光陽さんによると、「首都圏なら、アパート1棟丸ごとで表面利回り7~8%、1世帯マンションで同10%が一つの目標」。会社員が投資するのなら中古の区分マンションなどが取り組みやすいが、「そうした物件は7割が首都圏に集中している」(倉内さん)。それ以外のエリアでは、物件数が限られる。

値下がりリスクは小さい

足元の物件価格は横ばいで推移するという(下図)。しかし束田さんは、「ここ数年の不動産インフレを背景に新築物件の価格が上がったことで、中古物件の価格も上昇した。総じて物件価格の下落リスクが小さくなり、不動産投資のハードルが下がっている」と話す。

一方で、適切な購入のタイミングを計るのは難しい。「物件価格を主に左右するのは金利。ローンの金利が上昇すれば不動産投資の需要が減り、価格が下がる。今は金利上昇で、いつ物件価格が下がってもおかしくない状況」(倉内さん)。とはいえ、物件価格が低い時には、ローンの金利が高いというジレンマがある。「結局は、自分の生活環境や投資資金が整ったタイミングで始めるのが一番いい」と倉内さんはアドバイスする。

コロナ禍で需要に変化

物件選びで束田さんが薦めるのは、テレワーク対応の広めの区分マンション。「特に単身者向けに需要が高まっており、空室がすぐに埋まりやすい」(束田さん)

不動産投資に詳しいファイナンシャルプランナー(FP)の峰尾茂克さんも、テレワークに適した1LDKを薦める。

「ただし、駅から1㎞以上離れた物件や、築41年以上の旧耐震基準の物件は空室になりやすいので避けたい」(峰尾さん)

知っておきたいトラブル

「首都圏の物件価格が上昇したことから、比較的安価な老朽化した物件を慌てて買い、うまくいかず相談に来るケースが増えた」と峰尾さん。不動産投資を始めるなら、プランニングは重要だ。

「借り入れについては一長一短あるものの、安全重視なら借り入れなしが理想。空室のリスクを考えた方がいい」(峰尾さん)

最近多いのが、空室募集なども含めて一括管理してくれるサブリース会社とのトラブル。「家賃保証で毎月一定額の収入が得られる」とうたわれていても、実際は入居状況や家賃相場の下落で、賃料を減額できるようになっていることが多いからだ。

「他にも区分マンションでよくある例として、修繕積立金が充分に貯まっていないこともある。将来、予想外の出費がかかっても大丈夫なように、余裕のあるプランニングを心掛けたい」(峰尾さん)

出口戦略も重要 利回りは売却価格込みで考えよう


不動産投資の利回りというと、物件価格当たりの年間家賃収入の割合を示す「表面利回り」が一般的な指標だ。さらに一歩踏み込んで考えると、管理などに必要な諸経費や購入時の諸経費を加味した「実質利回り(ネット利回り)」を計算することもできる(下図参照)。
「出口戦略を考えることも重要だ」と峰尾さん。例えば老後資産の目的で物件を購入する時には、60歳の時にその物件の築年数はどうなっているのか、今の家賃の水準はどれぐらい保てるのか、資産価値はどれくらいになっているのかを考える必要がある。
「諸経費や売却益を想定した利回りを一度計算しておくのがいい」(峰尾さん)

(大松佳代)

[日経マネー2022年11月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年11月号 インフレに勝つ資産強化入門
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2022/9/21)
価格 : 750円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス

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