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三井住友トラスト、政策保有株ゼロに 問われる実行力

三井住友トラスト・ホールディングスは13日、持ち合い株などの政策保有株約1兆4000億円(時価ベース)を全て売却する方針だと正式に発表した。今後2年間でまず2500億円を売却する方針だが、残高ゼロの時期は明示しなかった。早く残高ゼロを打ち出した金融機関として、今後の実行力が問われる。

「資本市場の循環に向けた、社会的な要請が強まっている」。高倉透社長は同日開いた記者会見で、目標設定の意義を強調した。

三井住友信託銀行を傘下に置く三井住友トラストは銀行としての貸出業務のほか、年金や証券代行など幅広い業務分野を束ねる。年金など、融資と政策保有株の残高に応じて取引シェアが自動的に決まるケースも多く、政策保有株は長年、信託銀行として営業する上での「強力な武器」(大手信託銀行幹部)だった。

結果として、三井住友トラストの残高は高止まりしてきた。2017年3月期から21年3月期までの5年間で計1426億円(簿価ベース)を売却したが、普通株などの中核的自己資本(CET1)に占める政策保有株の割合約25%と、10%台前半で推移するメガバンクなどと比べて依然、高い水準にとどまっている。

目標を定めた背景には、20年に明らかになった議決権行使書の不適切処理問題がある。一部の行使書を誤って無効扱いしており、三井住友トラストの幹部は「市場の信任を裏切った」と自省する。

持ち合いの解消が進み取引先の企業価値が向上すれば、全体として市場の効率化につながる。年金や個人の資産形成に携わり市場と深いつながりを持つ信託銀として、「明確なメッセージを打ち出す必要がある」(幹部)との判断に傾いた。

三井住友トラストがゼロ目標を掲げたことで、焦点になるのは他の金融機関の動向だ。野村資本市場研究所の西山賢吾氏は、「政策保有株式全体における上場銀行と保険会社のシェアは合わせて5割強に上る」と指摘する。

メガバンクでは三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が16年3月期からの6年間で簿価ベースで約8000億円を削減する目標を掲げるほか、三井住友FGみずほFGもそれぞれ25年3月期までの5年間、22年3月期までの3年間で同3000億円減らす計画を立てている。

依然、政策保有株式には「岩盤」と呼ばれる親密先も少なくない。業界でいち早く残高ゼロを掲げた金融機関として、削減に向けた範を示せるか。三井住友トラストの動向を市場が注視している。

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