金の国内小売価格、最高値9000円 SVB破綻が波及

国内地金商最大手の田中貴金属工業は13日、金の小売価格を1グラム9000円と公表した。前営業日に比べて122円(1.4%)高い。米銀シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻を受けて海外の金先物価格が上昇し、国内にも波及した。買い取り価格も同8880円と最高値を更新した。
海外の金価格は前週末に大きく上昇した。SVBの経営破綻を受け、希少性が高く実物としての価値がある「安全資産」とされる金は買いが優勢となった。金の国際価格指標となるニューヨーク先物は10日、一時1トロイオンス1874.3ドルと前日終値に比べ2.2%上昇し、約1カ月ぶりの高値をつけた。
田中貴金属によると、これまでの小売価格の最高値は1月25日につけた8977円で、買い取り価格は22年4月20日につけた8860円だった。日本取引所グループ(JPX)の大阪取引所に上場する金先物は13日、一時1グラム8124円まで上昇して約11カ月ぶりの高値をつけた。
マーケットアナリストの豊島逸夫氏は「日本の投資家にとって、インフレや地政学リスクに加えてSVBの破綻が起きて、市場の不安要因が増えている状況だ。リスク分散の効果を考えると金の買い意欲も根強く、最高値圏でも売り一辺倒とはならない可能性がある」と指摘した。

米テクノロジー企業への融資で知られ、米西海岸シリコンバレーのエコシステムの中核を担ってきたシリコンバレーバンク(SVB)が2023年3月10日、経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入りました。関連する記事をお読みいただけます。