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最終赤字転落のAmazon株 投資妙味は依然としてある?

エルさん&たぱぞうさんのアメ株辛口ジャッジ(1)

米国株投資を手掛けるエルさん(ハンドルネーム)とたぱぞうさん(同)。人気ブロガーの2人が毎月1銘柄ずつ、米国の人気株を徹底査定する新連載を始めます。初回で取り上げる銘柄は、2022年1〜3月期に7年ぶりの最終赤字に転落したアマゾン・ドット・コムです。2人の査定結果はいかに?

アマゾンは、売上高が前年同期比7%増だったにもかかわらず、最終赤字となった。背景には、出資先である新興の米電気自動車(EV)メーカー、リビアン・オートモーティブの株式評価損や、巣ごもりで膨らんだ電子商取引(EC)需要の反動減などがある。

巣ごもり消費の代表格として人気を博してアマゾンの株価は上昇したが、22年は米金利上昇の影響などを受けて反落し、新型コロナウイルス禍直後の水準にまで落ち込んだ。

スゴ腕投資家2人の見方は?

アマゾン株について、エルさんとたぱぞうさんの査定結果は、「強気」「中立」「弱気」の3つ評価のうち、2人とも「中立」だった。短期的には巣ごもり需要の剥落といった業績の足を引っ張る要素があるものの、長期で見た事業の有望度は大きい。これが2人に共通する見方だ。

たぱぞうさんは同社の成長のポイントとして、大企業や政府機関などに向けて展開するクラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」に注目する。クラウドサービスでは、アマゾンに米マイクロソフト、米グーグルを加えた3社が「3強」と称される。

中でも、アマゾンのAWSは世界シェアで首位に立つ。米調査会社のシナジー・リサーチ・グループによると、クラウドインフラ市場で22年1~3月期に約3割のシェアを握っている。マイクロソフトは2割、グーグルは1割で続く。

AWS事業がアマゾンの売上高に占める比率は約16%だが、売上高営業利益率は約35%と高く、全体の利益を押し上げている。

成長率も高水準を維持する。21年の各四半期を通してのAWS事業は、前年同期比で30~40%の売り上げ成長を実現。22年1~3月期も同37%増を維持した。

「クラウド事業の高水準での成長が続くかどうかが鍵となっている。ここが陰ってくると厳しい」。たぱぞうさんはこう指摘した上で、「現状のAWSの引き合いは強く、売上高の押し上げ要因になり得る」と分析する。

超長期思考がアマゾンの成長の鍵

エルさんもアマゾンについて、AWS事業を筆頭に世界有数のテクノロジー企業である点を評価する。データサイエンスをはじめとしたテクノロジー分野における界屈指の人材力が、同社の成長を支えるとみている。

「さらに特筆すべきなのが、同社は"超"長期思考で経営を行っており、先行投資が常になされている点だ」(エルさん)。創業者のジェフ・べゾス氏の経営理念が企業に根付いた結果であるという。21年の「株主への手紙」の中にも、1997年のべゾス氏による株主への手紙が再掲され、「It's All About the Long Term(長期が全て)」との言葉がある。

「そのため、短期的な結果を求めて四半期決算のお化粧をすることがない。時には赤字に陥るなど、決算に"癖"があるのも事実。しかしながら、今後はヘルスケア、金融、ひいては宇宙分野にまでビジネス領域を広げていくと期待できる」とエルさんは分析する。

同社は既に遠隔医療サービスの「アマゾンケア(Amazon Care)」やオンライン薬局事業の「アマゾンファーマシー(Amazon Pharmacy)」、フィンテック事業の「アマゾンペイ(Amazon Pay)」に乗り出している。

こうした新領域への投資を支えるのが、強固な資金力だ。「同社は仕入れ代金を払ってから製品を売って現金を回収するまでの期間を指すキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)がマイナスだ。つまり、資金効率がいい。手元資金が潤沢な点は大きな強みだ」とエルさんは続ける。

短期的には下落リスクも

投資判断はどうすればいいのか。たぱぞうさんは「巣ごもり消費の収束による人員過剰、輸送コスト上昇、グロース(成長)株からの資金流出などによる短期的な株価下落のリスクは抱えている。ただし長期の成長を買うのならば、今の株価水準で少しずつ買い集めていくのも手だ。既に保有している人はホールド(保有継続)でよいと思う」と分析する。

エルさんも売買判断についてはたぱぞうさんと同様の考えだ。「長く持ち続けたい銘柄。企業理念と同様に、株主も超長期思考が求められる」と話す。

【今回の結論】長期の成長を買うなら、少しずつ購入するのも悪くない

エルさん(ハンドルネーム)
2019年、「株式投資で金融資産1億円を築いて早期リタイア」の目標を1年前倒しで実現。ブログ「【L】米国株投資実践日記」を運営。
たぱぞうさん(ハンドルネーム)
高配当株を中心に米国の個別株と上場投資信託(ETF)を売買。運用資産は約6億円。ブログ「たぱぞうの米国株投資」を運営。

(大松佳代)

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