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iDeCo、65歳まで加入できるメリット フルに生かす

シン・イデコ(3)

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今月はシン・イデコと称して、iDeCoこと個人型確定拠出年金の新しい活用術をまとめています。制度スタートから20年を超え、iDeCoの「常識」は変化しつつあります。「60歳まで積み立てるもの」という常識も今年の5月に変わりました。

時代の変化に合わせて改正

5月から、iDeCoは60歳以降も積み立てを続けることができるようになりました。

iDeCoは当初、自営業者のものというイメージが強かったせいか(会社員は企業型の確定拠出年金があるから)、国民年金の加入期間を終えるタイミングである60歳までを積立期間と考えていました。

しかし20年が経過し、多くの会社員がiDeCoを利用するようになりましたし、65歳まで現役として働くのが標準的になりました。時代の変化にミスマッチしてしまった制度を今回改正したことになります。

カギは「年金保険料を納める立場」かどうか

ただし、60歳以降もiDeCoに掛け金を拠出し続けたい場合、条件があります。ひとつは「国の年金保険料を納めている立場である」ということです。

法律上はiDeCoは公的年金制度の上乗せと位置づけられているため、公的年金制度に加入し、保険料を納付している人がiDeCoに60歳以降も加入して積み立てを継続することができます。

まず、自営業者等が加入する国民年金ですが、20歳から60歳までの40年間に未納の時期があるなどして保険料の納付をしていなかった人は60歳を過ぎても納付をして老齢基礎年金額を増やすことができます(任意加入被保険者)。こうした人は年金保険料を納めているので、iDeCoにも拠出ができます(言い換えると、未納期間がなく40年フルに国民年金に加入していた人は、60歳以降の積み立てはできない)。

会社員で60歳以降も厚生年金の適用を受けている働き方をしている人は、iDeCoについても60歳以降続けて拠出することができます。60歳以降も正社員である人、継続雇用で厚生年金の適用を受けている人などがこれに該当します。

国民年金の第3号被保険者、いわゆる専業主婦(会社員の被扶養配偶者)は、60歳でその資格を失いますのでiDeCoには加入できません(60歳以降、任意加入して保険料を納付すればiDeCoに加入できる)。

それぞれの立場を比較してみると、継続雇用などで60歳以降も働いている会社員が主対象ということになります。高齢社会白書によれば、60代前半の男性の就業率は82.7%、ここから要件を満たさない自営業者などを除くと7割くらいがiDeCoの対象となりうる、というイメージです。

「もしかすると、自分もiDeCoに入れる?」という人、案外多いかもしれませんね。

60歳代前半の5年で老後20年の資金が上乗せできる

今回の改正の示すところは、「60歳を過ぎたら積み立て余力がない」という固定観念はもはや決まりごとではない、ということです。60代前半は多様性の年齢であり、収入が下がる人もいれば維持される人もいます。もし老後資金をさらに上積みをしたい人にとっては、iDeCoはラストチャンスとなります。

企業年金のない会社員の場合、月2.3万円が限度額ですから、5年で「最大138万円+運用収益」の上積みができます。もちろん掛け金は所得控除の対象となり節税となるだけではなく、最後の追い込みで老後の豊かさをプラスアルファできます。

仮に老後の夫婦旅行1泊2日が1回10万円とすれば、約14回分の旅行予算を最後の5年で確保したことになります。国内の主要な世界遺産巡りができそうな予算枠です。

「60歳から始めたっていまさら遅い」と決めつけずに、60代前半のiDeCo積み立てを検討してみてください。やりくりがギリギリであっても、極端な話、すでにある貯蓄の一部をiDeCoの掛け金に回して5年分の節税を確保するだけでも有意義です。先ほどの例で税率20%くらいと仮定すれば20万円以上の節税となるわけですから。

運用リスクが気になる場合は、定期預金等の元本確保型商品を選択するという方法もあります。もちろん資産運用をしてもかまいませんが、短期的な相場の急落が心配な場合は無理をしないのも「運用」のひとつです。

60代前半のiDeCoは、セカンドライフ間近での資産形成ラストスパートです。その効果をセカンドライフで実感することになるはずです。

「企業型DCも70歳まで」が地味に施行

もう一つ、実は企業型の確定拠出年金(DC)においては70歳まで加入できるという改正が地味に施行されています。実はこちら、すでに65歳まで加入可能となっていました。ただし、同一企業に継続して在職する必要があるなどちょっと厳しい要件がありましたが、今回それが解消され、さらに70歳まで延長されたという格好です。

もともと厚生年金には70歳まで加入できること、実はもう一つの企業年金制度である確定給付企業年金のほうは70歳対応済みだったことを考えれば、確定拠出年金が足並みをそろえたことになります。

ただし、退職給付制度として社員を何歳まで加入させるかは会社が決定することになります。この規定は強制ではなく、会社の退職金・企業年金制度として最後の裁量は企業(と労働組合)に残されているわけです。「わが社の確定拠出年金の加入は60歳までのまま」とすることもできます。

こちらの改正は、一気に70歳適用が拡大するというよりは、法律上の縛りは先に外しておくということです。これから高齢者雇用の条件が高まっていく中で、退職金も65歳まで加算、70歳まで加算というように徐々に条件が引き上げられていくための環境整備ということになります。

65歳定年などに雇用条件が変更になったときは「確定拠出年金のほうはどうなるのか?」と会社の方針に注目してみてください。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「日本版FIRE超入門」(ディスカバー21)など。http://financialwisdom.jp
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