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ワクワクする未来の構築へ、損害保険は何ができる?

読者の提案と社長の講評 船曳真一郎・三井住友海上火災保険社長編

船曳社長の提示した「ワクワクする未来の構築へ、損害保険は何ができる?」という課題に対し、多数の投稿をいただきました。紙面掲載分を含めて、当コーナーでその一部を紹介します。

■「青春」の挑戦支援

平野 ちひろ(関東学院六浦高校2年、16歳)

高校生から見た保険のイメージは堅苦しく、とっつきにくい。しかし、自分に関係のある保険があれば関心を持つと考える。若者に向けた「青春保険」をつくるのはどうだろう。例えば、新型コロナウイルス感染症の影響で部活動の大会ができなかった場合の代替大会の運営費補助や、学校内での新たな委員会やクラブ活動を始める費用などだ。その保険は、もちろんお金を補塡する役割があるが、失敗を恐れずに挑戦する機会を学生に与えることを主な目的とする。こういった仕組みが学校生活の中に存在することにより、様々な挑戦を後押しできる。社会が大きく変わろうとするときや、大人が新たなビジネスを始めようとするとき、人々に寄り添いリスクを乗り越えるシステムは発達している。だが、なぜ若者の小さなチャレンジには寄り添ってくれないのか。挑戦に大小はない。未来を担う若者への保険が生活を豊かにしてくれることを信じて、私たちは挑戦を重ねてゆく。

■起業家の背中押す

日沢 彩(産業能率大学経営学部2年、19歳)

「起業家応援保険」を提案する。つまり、新しいビジネスへの挑戦に対する保険だ。損害保険というと火災や地震など、外的な要因によって生じるリスクに備えるためのものというイメージだろうが、私が提案するのは、自らの行動によって生じるリスクに備えるものだ。私は「こんなビジネスを始めてみたい」「こんな社会をつくりたい」と思い描いている人はたくさんいるのではないかと考えている。しかし、失敗するリスクや、生活が不安定になることを恐れ、あきらめてしまう人が多いのではないかとも思う。ひょっとしたら、あきらめてしまったアイデアの中には、未来を大きく変えるものが隠れていたかもしれない。誰でも自分のやってみたいことを実現できる世の中にするため、損害保険会社は起業家を応援するための保険をつくってみてはどうだろうか。この保険が背中を押し、すてきなアイデアが世の中で日の目をみることになれば素晴らしいことだと思う。

■喜びをおすそ分け

亘理 隆(自営業、62歳)

「保険をかけておく」という言葉には、予期せぬ不幸や不運に備えた安全策という負のイメージがつきまとう。では、幸せな保険はないのか、と考えたとき「ホールインワン保険」の存在を思い出した。ゴルファーにとっての素晴らしい結果をみんなと分かち合う「おすそ分け保険」。この発想やよし、である。頑張った人への「ごほうび保険」もよい。少額でもいいから、新たな資格を取得した人や周年を迎えた企業にお祝い金が出るしくみだ。考えてみれば、自動車保険で求償しないと保険料の割引率が高まるのもお祝い金だ。「あなたも車も一年間無事でした。あなたの家族も損害保険会社も、みんなハッピーです。この1年の無事のお祝い金を差しあげます」ということだ。挑戦する人や地道な努力を続ける人へのリスク回避としての保険はありがたい。同時に、その成果や無事息災を祝ったり、喜びをおすそ分けしたりすれば、さらに人に寄り添う損害保険ができると思う。

【以上が紙面掲載のアイデア】

■新しい挑戦を主導する

小島 怜恩(慶応義塾大学経済学部4年、21歳)

ワクワクする未来って何だろう。誰もが不安なく、一人一人が前向きに挑戦できる未来だと思う。これまで損害保険は人や企業の挑戦を支えてきた。人や企業に降りかかる様々な「万が一」「もしも」を予測し、その可能性を減らしたり、それが起こってしまったときになるべく早く元通りにする手助けをしたりする。でもそれで十分だろうか。私は違うと思う。損害保険のほうが、新しい挑戦を主導してもよいのではないだろうか。まだ何も仕組みや枠組みがないようなワクワクする挑戦を考え出し、その挑戦を支える保険を無数に世の中に提案する。その提案に乗ってくる「仲間」となる個人や企業を待つというものだ。まるで海賊王を目指し大海原に出た人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」の主人公のように。新しいワクワクする未来を想像し、その仕組みを創造する。挑戦を「支える」だけでなく「巻き起こす」存在となる可能性を損害保険は秘めていると感じる。

■心の穴も埋める保険

佐藤 慎太朗(会社員、38歳)

損害保険は時代とともに発展し、その対象も様々なモノに広がってきた。しかし、損害があった場合の補償はあくまで経済的な面に限られる。損害を受けたモノを持っている人にとって、それだけで十分といえるだろうか。自分の大切にしてきたモノが壊れてしまったり被災したりして使えなくなってしまうと、心にぽっかり穴の開いたような精神的なダメージも受けることが多いと思う。私はそのような部分までケアしてくれる保険こそが、未来の保険であると考える。例えば、家を失ってしまった場合、家財や再建にかかわる費用は補償されるであろう。だが、「これまで家族と築いてきた思い出の場所が失われてしまった」という喪失感は大きい。経済的な側面だけでなく、こういった部分をケアして新たな出発に寄り添えるようなサポートを行い、損害から真に回復したといえる状態を一緒につくり上げていくような、人間味のある保険があったらいいな、と思う。

■創造を守る保険

緑川 知紗(学校法人石川高校3年、18歳)

SNS(交流サイト)を見ていると、「作品を無断転載しないでください」とか「私の絵柄をAIに学習させないでください」という投稿が増えたと感じる。転載された作品の取り下げを求める場合、作者自身がこの交渉を行う必要がある。私人が交渉を行うことは、出版社が海賊版漫画を取り締まることとは訳が違う。特に海外サイトへ作品が転載されれば、そこには言語の壁が立ちはだかる。作者がAI学習の禁止を宣言するのは、自身を装った第三者に悪意ある作品を作製させないためだ。しかし実際には、こうしたAI学習禁止宣言に法的拘束力はなく、SNS上でのイメージを侵害されても、作者が取れる措置は限定的なものとなる。だからこそ、作者の権利が不当に侵害された時、その交渉をバックアップする保険が必要だ。作品の無断転載が増え、AIを用いた創作が特殊ではなくなった今、創作の権利を守るための保険の需要は拡大していくだろうと考える。

■子どもの夢応援保険

中村 健太郎(京都産業大学経営学部2年、19歳)

子どもの夢を応援する保険があれば、子どもも親も親戚も、みんながワクワクした未来になると思う。今の日本は、将来の夢を持つ小学生が8割ほどいるのに対して、中学生では6割台にまで減ってしまうという。これは小学生から中学生の間にかけて、失敗が恥ずかしいと思うようになり、挑戦が難しくなるのではないかと考える。そこで、小学生の間に「子どもの夢応援保険」に加入してもらう。その際に、中学卒業までに達成する目標、高校卒業までに達成する目標、成人までに達成する目標を考えてもらう。目標を達成できれば保険会社からの保険金に加え国からもお祝い金が支払われ、失敗しても保険金は満額が支払われるようにする。それにより失敗は悪いことではないと感じてもらう。もちろん、途中で目標を変更することも可能だ。国や企業、親が子どもの夢を応援し、子どもはその夢を追いかける。そんな保険が日本にあったら、ワクワクする未来になるだろう。

■外国人の生活支援

野口 裕太(会社員、38歳)

これから先の日本を展望したとき、日本は国を大きく開いていかなければならないと考える。急速に進む人口減少のペースを抑え、日本にもう一度活力を取り戻すためには、世界に門戸を開き多様で優秀な人材を積極的に取り込んでいく必要がある。その際に、日本に身一つでやってくる外国人たちが、安心して暮らすことのできる仕組みを実現するために、損害保険としてできることはないだろうか。既存の損害保険の枠組みの中でのこともそうだし、来日する外国人の声を詳細に拾うことで新たな気付きがあるのではないだろうか。文化や習慣の違う日本で生活するにあたって、様々な不安を感じている外国人は多いはずだ。特に、言葉の壁があり、そもそも日本に損害保険の仕組みがあることすら知らない人たちが一定数いると思われる。そのような人たちに、損害保険会社の方から寄り添って、ワンストップで様々な予想されるリスクへの対応ができる仕組みができればと思う。

■テクノロジー保険

金井 恒大(産業能率大学経営学部3年、21歳)

私はテクノロジー保険を提案する。テクノロジーが多種多様化し生活の多くの場面に科学技術が介入する未来が来ることは容易に想像できる。移動手段だけでも空を飛ぶライドシェア、ハイパーループ、スターシップなど。医療技術としてはナノテクノロジー、3Dプリンター、センサーデバイスなど。利便性が向上し、従来の常識を超えるようなことが実現されると考えられる。良いことが多い半面、悪用されることも考えられる。ディープフェイクや声のコピー、3Dプリンターなど活用次第では人を欺くような使い方ができてしまう怖さもある。そこでテクノロジーそのものに保険をかけられる制度を提案したい。便利なものは利用したい、だけど一歩踏み出すのが怖いという人に対し飛び込みやすくするシステムを導入すれば安心して利用できるのではないかと思う。近未来を当たり前にするということに貢献できるビジネスになるのではないか。

■生涯独身をサポート

長谷川 朱里(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部2年、20歳)

厚生労働省によると、50歳までに一度も結婚をしたことがない人の割合は年々高まっており、2040年まで上昇が予測されている。特に男性の未婚割合は20年時点で4人に1人に達している。また、単身世帯の4人のうち3人が老後の生活に不安を抱えているようだ。そこで、生涯独身であっても安心して老後の生活を送ることができる「生涯独身」保険を提案したい。仕組みはこうだ。保険期間は終身で保険金の支払期間は定年までとする。提供するサービスの主な内容としては、毎月の生活費の補助、デイサービスが通常料金より安く受けられる、孤独死した際に葬式などの面倒を見てくれるなどだ。保険に加入した後に結婚した場合は、祝い金として今まで支払った保険金が返金されるという特典もあったらいい。先の見通せない時代にあって、この保険に加入することで結婚をしない選択をとっても、安心して楽しい老後の生活を送ることができるのではないだろうか。

■AI、ロボットの暴走防ぐ

政田 大心(京都産業大学経営学部2年、20歳)

私は人工知能(AI)やロボットの保険をつくることが、ワクワクする未来を構築すると思う。AI、ロボット技術は近年進歩している。AIに仕事を任せたり、ロボットが動き回ったり、現在の技術でもとてもワクワクする。しかし、AIはいつ暴走するかわからないので、そのための保険も必要だ。導入したAIやロボットが暴走して企業や個人に危害を加えたり、AIと人間の間に考えの違いが生まれた結果、損害が発生したりすることもあるだろう。その時、保険が損害を埋める役割をすればAIなどを導入しやすくなる。多くの場所でAIやロボットがあふれる社会が構築されていくことだろう。人とロボットが共存するなんて、まるでSFの世界のようでとてもワクワクする。保険がなければ、AIやロボットの暴走が問題になり技術の進化が起こらなくなってしまうかもしれない。保険をつくることで社会の変革を促進させ、ワクワクする未来を構築するのだ。

■若者を世界に送りだそう

鵜飼 信(会社員、39歳)

海外留学の重要性を訴える言説は多いが、最近の若者はあまり魅力を感じていないようだ。就職活動に乗り遅れるなどのリスクがはっきりしている一方、得られるものが漠然としているからだ。視野が広がるなどと言われてもピンと来ないのだろう。しかし本当のチャンス、成長の機会は具体的・定量的に語れないところに存在し、海外留学には言葉で表せない大きな可能性がある。そうした機会を若者に提供するにはリスクを減らしてやる必要がある。具体的には留学生に将来の無収入時のベーシックインカムを保証するような保険だ。莫大な原資が必要になるが、それは留学で成功した人たちに出世払いしてもらえばいい。成功者が増えるほど1人当たりの支払いが少なくて済むようになるから、成功者は後輩をサポートすることで保険料を減らそうとする。こうして若者がどんどん海外に出て行けば社会に活力が増え、経済の好循環も生まれるだろう。

■宇宙旅行にも保険

森 拓也(産業能率大学経営学部2年、20歳)

ワクワクするような未来の実現に向けて、宇宙旅行なども対象にした保険を提案する。近年、各国が宇宙開発に力を入れており、2040年に宇宙産業市場は1兆㌦(約140兆円)を超えるという予測もある。また、民間人による宇宙旅行が実現し、特別な訓練を受けた宇宙飛行士だけに許されていた宇宙の体験が一般的になってきている。今後ますます宇宙への関心が高まると考えられる中で、保険によってリスクに対応することができれば、ワクワクする未来が実現できるのではないか。ロケットの打ち上げ失敗や人工衛星が損害を受けたときの保険はすでにあるが、宇宙空間に行ったことに伴う病気や後遺症に対応する保険などもあるといい。宇宙旅行には夢がある一方で、多額の資金が必要となり、失敗したときのリスクが大きい。そうしたリスクに損害保険が対応することによって、宇宙旅行がより安心して楽しめる旅になるのではないだろうか。

■起業を支える

安孫子 花菜(関東学院六浦高校1年、16歳)

より多様で面白い社会にするためには、起業をする人のための保険が必要だと考える。起業することで自分が思い描く通りに仕事ができる。起業率が高くなれば、個性的な変わった企業が増える。一人ひとりの人間が違うように、様々な企業があれば今までなかった商品やサービスが社会にあふれる。そうすればより多くの人が自分にあったスタイルを築くことができるようになる。日本の起業率は欧米諸国と比べるとかなり低い水準にある。国民文化の違いを相対的に比較した「ホフステードの6次元モデル」から日本人は不確実性の回避の指数が高かった。リスクをなるべく負いたくない国民性が起業率の低さに関係している。失敗をしてもしっかり保障され、リスクが小さいのなら起業に挑戦する人が多くなるのではないか。リスクの大きい起業を保険によって支えることで起業率が高まり、起業した人も社会に生きる人も皆が楽しめるようなカラフルで明るい未来が見えてくる。

三井住友海上火災保険・船曳真一郎社長の講評

たくさんのアイデアをいただき、ありがとうございました。私たち保険会社の発想を超える柔軟なアイデアが多く、保険が秘める可能性を強く感じることができました。10~20代の回答が全体の8割を占め、若い方に真剣に考えていただいたことをとてもうれしく思います。

若者の挑戦をサポートする「青春保険」は、部活動やイベントといった「青春」を費用面で支援するものです。コロナ禍で様々なイベントの自粛を余儀なくされた世代の思いが詰まった保険だと感じました。未来を担う若者を支え、希望に満ちた社会をつくることも保険の役割だと改めて考えさせられました。

「起業家応援保険」は、ビジネスを始めたいが、リスクがあるから立ち止まる。そういった人の背中を押す保険です。大航海時代と同じく挑戦にはリスクが伴い、それを補償する保険が必要です。起業の後押しは当社が経営理念で掲げる「活力ある社会の発展」につながるものです。

「おすそ分け保険」は、損失を補償する損害保険の見方を変える斬新なアイデアでした。当社もリスクを減らす、復旧を早めるといった補償前後のサービスの拡充に努めています。これからはもう一歩踏み込み、お客さまが幸せを感じられるような保険が必要なのかもしれません。

アイデアの多くに共通するのは「挑戦」を支えるということでした。保険があることで挑戦でき、ワクワクする未来につながる。不確実性が増す世の中ですが、失敗を恐れない新たな挑戦で、未来は良い方向へと変わっていきます。

2022年4月から新たな中期経営計画を始めました。社会と当社のサステナビリティを同時に実現するサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を成長ビジョンとして「保険には、未来を変えるチカラがある。」をメッセージに掲げました。ワクワクする未来に向け挑戦する世界、日本、社会、そして人々を保険で支えられる会社にすべく、挑戦を続けたいと思います。

◇――――――――――◇

「ワクワクする未来」というテーマを最初に聞いたとき、私が抱いていた事故や災害に対応する損害保険のイメージと結びつけることができませんでした。それは深刻なデフレを乗り越えようと「守り」に徹した日本経済に長く身を置いたゆえの感覚だったのかもしれません。

その間に、米国ではアップルやテスラなどのイノベーションが次々と花を咲かせました。未来の実現を支える三井住友海上火災保険の試みは、日本が忘れていたイノベーションへの挑戦という欲求を奮い起こします。新たな保険の行方を見届けたいと思います。

(編集委員 小栗太)

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