中国のIT企業規制 所得格差の不満に危機感
きょうのことば

▼中国のIT企業規制 アリババ集団をはじめ巨大IT(情報技術)企業に対する中国政府のさまざまな規制のこと。中国政府は2020年11月に金融会社アント・グループの新規株式公開(IPO)を延期に追い込んで以降、IT企業に対する締め付け姿勢を鮮明にしている。
具体的には、アリババに対して独占禁止法違反で約182億元(約3100億円)の罰金を科したほか、米国に上場した中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)などネット企業3社に対し、国家安全上の理由でネット規制当局が審査を行った。その後もユーザー数が100万人超の中国企業が海外上場する際に当局の審査を義務付けた。企業の呼び出しや指導も相次ぐ。
中国のIT企業規制の背景には、所得格差の拡大などで国民の不満が高まっていることへの習近平(シー・ジンピン)指導部の危機感がある。だが、一連の統制強化は国内外の投資家の心理悪化を招いており、アリババや滴滴など巨大IT企業の株価は下落が鮮明になっている。