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教育費はゴールが明確 でも準備開始は3年早まる

子育てとお金(2)

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写真はイメージ=PIXTA

「子育てとお金の話」が今月のテーマです。子どもにかけるお金は、経済的損得を抜きに考える時代とはいえ、その学費準備額は少なくとも1000万円以上を意識する必要があります。私たちは準備にどう向き合っていくべきでしょうか。

学費準備の特徴は「期限が明確」「変化はない」

マネープランの多くには不確定要因があります。しかし子どもの学費準備をマネープランとして考えるとき、クリアにできることがあります。

まず「子どもが誕生した段階で高校入学年度、大学入学年度はおのずと固定される」ということです。これはつまり「いつまでにためなければいけないかというゴールは明確」ということです。

このゴールは基本的に変化しません。飛び級によって早まったり、休学によって進学が延期になったりする可能性も(ゼロではないものの)確率としては高くありません。

住宅購入や相続問題などは、計画を立てることは大切ですが、現実が変化することが多々あります。例えば好物件を見つけるタイミングとその価格、そのときの金利動向など変動要因は大きく、なかなか思うようになりません。一方で購入延期をする自由はあります。

しかし子どもの学費に延期はありません(代わりにあるのはローンによる前借り)。この特性を踏まえつつ、できるだけ計画的に学費準備を行うのがコツということになります。

準備のタイムリミットは案外早く訪れる

そうなると「15歳の春」と「18歳の春」に向けて資金準備をすればいいということになるわけですが、タイムリミットを「15年」「18年」と考えるのは間違いです。

現実問題として、お金がかかり始めるのは高校受験「前」からスタートしています。塾や予備校に通わせれば、その分の支出が動き始めるからです。夏期講習や冬期講習の支払いが始まると、貯蓄どころではなくなってきます。

また高校の学費を納めつつ、大学の学費に備えて積み立てていくのはなかなか大変です。高校の無償化の取り組みも所得制限があるうちは過度な期待は禁物です。

つまり「18歳の春」までにためればいいというような計画は難しいうえ、「15歳の春」よりも早くタイムリミットが訪れます。それこそ中学の2年生くらいだと思うくらいがいいわけです。となると、14年くらいしかないので、結構、短い計画になります。

開始時期が幼保無償化実現で変化

ゴールが見えたところで、スタートラインのほうはどうでしょうか。ちょっと古い雑誌やマネー本には「小学校入学をしたら、すぐに積み立て開始!」という説明がされています。

これは保育料が家計の大きな負担となっていたため、義務教育がスタートし負担が軽くなったところでその差額を確実にためていきましょう、という説明です。

また、小学校に入ったところでパートなどで働き始めたり、フルタイムに戻ったりすることで年収を増やすこともできる、というような説明もしばしばなされました。

しかし、今は「3年早まる」という変化が起きています。

幼児教育・保育無償化の取り組みが実現したことにより、3年早く保育料の負担が軽減されるようになったからです。幼稚園、保育所、認定こども園なら3~5歳児クラス(春の年齢で考える)の3年間が、原則として無償化の対象となります(認可外保育園など、金額上限を設定する場合もあり)。

わが家の子どもも保育園に通わせている途中で幼保無償化の対象となり、ある月から保育料費用負担がなくなったことによる家計へのインパクトは大きなものがありました。

これを子どもの10年先の進学のための原資に振り替えていくのが、今の時代の学費準備ルールとなっているのです。

たった3年、されど3年 入園したら積み立て開始

ゴールが思ったより早いことを考えると、「たった3年」であっても準備を早めることができるのは大きなメリットです。むしろ「されど3年」のつもりで、学費の積み立て開始を考えてみたいところです。

小学校の6年間と中学校の2年間、合計で8年間で毎月3万円を積み立てたのと、幼保無償化の期間である3年間を加えた場合では、元本ベースで288万円と396万円で大きく開きます。これにボーナスごとの積み立てを加えていければ、学費準備にメドがたちます。

子どもが3歳の頃に高校や大学に進学する姿を考えるのはなかなかイメージしにくいことでしょう。また、目の前の日常は幼児の子育てに追われて忙しく過ぎていきます。

しかし、保育料がなくなったタイミング(保育園の場合)で、その差額を積み立てするような仕掛けを忘れずに講じてください。とりあえず積立定期預金を設定し、保育料だった同額を貯金になるようにします。

「たった3年」の差も100万円の学費に変わることになれば、「されど3年」の差です。10年くらいあとに「あのときやっておいてよかった!」と思うことになるはずです。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「日本版FIRE超入門」(ディスカバー21)など。http://financialwisdom.jp

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