23年も続く物価上昇 大きな変化に本気で対応 - 日本経済新聞
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23年も続く物価上昇 大きな変化に本気で対応

2023年に備えるマネー戦略(2)

あっという間に12月も1週間が経過しました。今月は2023年へのお金の備え、考えておきたいテーマを整理しています。前回、23年に考えるべきことは22年の物価上昇率以上の賃上げやキャリアアップへの取り組みだというお話をしましたが、そもそも23年も物価上昇は継続するものでしょうか。

食品値上げは継続、2月に注意

帝国データバンクの調べでは22年12月および23年1月の食品関連の値上げ品目はごく少数にとどまっているそうです。年末年始、何かと物入りの時期にホッと一息つけそうですが話は単純ではありません。

企業も年末年始の値上げによる消費冷え込み懸念に配慮した、というのがどうも本音のようです。23年2月にはまたたくさんの値上げがありそうな気配です。22年10月は今年最大の値上げ品目数を記録しましたが、23年2月も相当数の値上げが見込まれているとのこと。

食品関連だけですでに3269品目が2月に値上げされ、値上げ幅が平均17%というのは相当厳しい数字です。どうやら23年も値上げが続くと考えてよさそうです。

これまで値上げを先送りしてきた商品が23年に値上げされる可能性がまず考えられますし、すでに値上げを一度行った商品がそれでは十分ではなくもう一度値上げをするようなことも考えられます。

電気代は規制料金上限まで値上げしても電力会社は赤字になっており、これを引き上げる動きがあります。光熱費のさらなるコスト増は見込んでおくべきでしょう。

年末年始は高額出費の季節 徹底的にメリハリを

年末年始は、どうしても臨時出費の生じる季節です。クリスマスプレゼントに食事、年末年始の交通移動や外食、あるいは親戚へのお年玉など、高額の出費が重なります。

こうした臨時の出費が高額になること自体はかまいませんが、その金額が適正かどうかには気を配っていきましょう。高い予算は、それに見合うたくさんの満足を自分や家族にもたらしているかどうか「コスパ」を意識してみてください。惰性の満足度ゼロ出費などはあえてやめるのも選択肢です。

できれば出費する前の吟味に時間を使うことで、「タイパ」(時間のコストパフォーマンス)も高めていきましょう。使うお金の満足は「出費後」だけではありません。プレゼントを選ぶ楽しみ、当日までの期待感などの「出費前」にもあるからです。

また、高額の臨時出費につられて日々の生活コストをズルズル高めないような注意も必要です。年末年始は出費のメリハリを強く意識し、削れる日常生活費はしっかり抑えて過ごしましょう。

日々の生活を倹約している人ほど、臨時出費をすれば日常との大きな「差」が生まれます。その「差」も満足感につながり、コスパがさらに高まります。クリスマス前は意識的に食費を削るようなセルフコントロールをしてみましょう。

徹底的に固定支出を削ってみよう

家計の節約においては、固定支出と日常生活費の双方で支出を削っていく必要があります。固定支出を削るのは毎日取り組む性格のものではありませんが、実現すれば来月以降も継続的に家計をダウンサイジングさせることになり、節約効果は絶大です。

だとしたら年末年始を徹底的に継続して使っているサービスを解約をしたり、割安サービスへ乗り換えをしたりする時期と位置づけてみてはどうでしょうか。

クレジットカードや銀行の預金通帳から自動的に引き落とされている項目をすべて棚卸しし、精査します。

「不要なサービスは解約する」「割安なサービスに乗り換える」――。2つのアプローチで全項目をチェックしてみましょう。私が今悩んでいるのは動画配信サービスの重複です。独自配信のコンテンツがあったり、片方だけ配信終了するコンテンツがあったりしますが、ひとつに絞るのが妥当だからです。

光熱費なども省エネできないか模索してみるのも意義があります。ガス代、電気代などを少しでも減らして生活できないか考えてみましょう。

わが家では浴室乾燥機の利用回数を減らし、かつ1回あたりの利用時間を減らすことにチャレンジ中です(子どもの洗濯物が多く利用ゼロは難しい)。忙しさを言い訳にせず晴れた日に外で干したり、洗濯物を浴室内でこまめに位置変えしたりして乾燥時間を30分減らすような取り組みを励行しています。うまくいけば10~20%ガス代が下がると期待しています。

10年以上使っていてガタが来ている白物家電などは年末年始の商戦でお得に買い替えてみるのもアリです。冷蔵庫の買い替えは特に電気代節約に寄与します。これまたわが家の年末のテーマとなっているところです。

皆さんも「わが家の見直しテーマ」を探してみてください。きっと節約につながる固定支出があるはずです。

日常生活費、徹底的に削ってみよう

最後に考えるのはやはり、日常生活費の切り詰めです。先ほどメリハリ出費が大事だとお伝えしましたが、普段の生活ほど低コストでやりくりしたいものです。

特に考えたいのは「当たり前の買い物」「いつもの商品」を疑ってみることです。忙しい中、ルーティンの買い物にメスをいれることはなかなかありません。しかし12月と1月は意識をしてみましょう。こちらも「あえて買わないで過ごしてみる」「割安な商品に乗り換えてみる」――の方針で日々を過ごしてみましょう。

年末年始のご褒美出費のために我慢するのだと思えば、いつもより頑張れるはずです。

買わない生活を一度やってみると「買わなくても、意外に平気じゃん」というような気づきがあります。2つ3つ生活習慣が変われば23年を通して大きな節約になるでしょう。

わが家で最近注目しているのは、ライバル同士のスーパーマーケットの価格差調べです。安売りで知られているA店が、いくつかの品目では競合のB店より10%以上高いことをスマホのメモ機能で発見(逆もあり)、それ以降、値付けを慎重に見るようになりました。ドラッグストアも同様です。

23年は勝負の年です。賃上げとインフレ、そして家計管理のバランスの中でなんとか勝利を勝ち取りたいところです。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「日本版FIRE超入門」(ディスカバー21)など。http://financialwisdom.jp

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