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10月から全員iDeCo時代 夏にやっておきたい準備

知っ得・お金のトリセツ(91)

10月に訪れる「全員iDeCo時代」。節税の王様と呼ばれる個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)にこれまでは入りたくても入れなかった、750万人ともいわれる会社員が待ちに待った瞬間だ。だが、お得はタダではやってこない。実は夏休みの宿題として今にも準備を始めないと、10月になってから「へ? すぐに入れないの?」ということになりかねないので要注意だ。

10月の法改正で会社員に広がる門戸

iDeCoは原則20歳以上65歳未満の国民年金加入者が公的年金の土台の上に「自分年金」の貯金箱を築くイメージ。年金タイプごとに拠出の上限額が決まり、その中で自分でいくら出すかを決め(最低月5000円~)選んだ金融商品で運用する。もともとはセーフティーネットが手薄な自営業者や企業年金のない会社員向けの制度だったが、近年公務員や専業主婦(夫)などに対象が広がり、2022年6月時点では251万人超が加入する人気の制度だ。

唯一、門戸が閉じられた形だったのが企業型確定拠出年金(DC)を導入する企業の会社員だ。そのままiDeCoの非課税枠もプラスオンするとあまりに手厚すぎるということで、9月まではわざわざ会社掛け金の上限額を引き下げる措置が必要だった。法改正を受け10月以降は必要なくなり、日本の会社員のほぼ5人に1人に相当する一大勢力のiDeCoデビューが可能になる。 

国民年金基金連合会は10月20日締め

デビュー手続きは自分で行う。そしてこれが結構、面倒で時間のかかるプロセスだ。会社が掛け金を出してくれるばかりでなく、商品ラインアップや手続き面でのインフラもパッケージで提供してくれる企業型DCとは全く趣が異なる。まずは「iDeCo暦(ごよみ)」を押さえる必要がある。基本は「20日締め」の「翌月26日引き落とし」。iDeCoの実施機関である国民年金基金連合会(国基連)に10月20日までに遺漏のない書類を届けられれば10月加入の資格を得て、翌11月28日(26日が土曜日のため変則的)から掛け金の引き落としが始まる。

書類を届けるのは運営管理機関である証券会社や銀行などだ。ではその前段階、自分が選んだ運営管理機関に対して、会社員本人がいつまでに書類を届ければいいかというとこれは様々。同月の「1日」や「5日」などの例が多い。いずれにしても10月20日から逆算すると9月下旬には発送した方がいい。残された時間は長くない。なぜなら……。

まずは金融機関への資料請求から

「ゴールデンウイーク期間などは資料請求からお届けまで2週間かかる場合もございますのでご了承下さい」。筆者は大手ネット証券への資料請求で、こう出ばなをくじかれた。万事ネット化が進んだ優秀な証券会社をもってしても、ことiDeCo関連では郵便が主役。そして郵便といえば、最近は土曜の普通郵便の配達がなくなるなど、サービス後退が著しい。

仮にきょう資料請求をして2週間後に資料が届くと、次に待つのが勤め先に書類を持って行き必要事項を記入してもらいハンコを押してもらうミッションだ。iDeCo加入には会社に「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」を書いてもらう必要がある。

「イデハラ」はないにしても……

このプロセスで会社が「面倒くさがる」「なかなか書類を返してくれない」というのがSNS(交流サイト)上などで発生が報告されている「イデコハラスメント(イデハラ)」だ。仕事と直接関係のない面倒な手続きと思われるからか、担当者人数の少ない中小企業などでは起きがちという。10月解禁の場合、もともと企業型DCのある大きめの会社が対象なので、まさかイデハラはないだろうが、新型コロナウイルス禍の夏休み期間でもあり1~2週間はかかると予定した方がいいだろう。

8月末の「事前受付」もある

中には「締め切りは8月末」と言われている人もいるかもしれない。これは会社の手続き上、事務作業が集中するのを避ける目的で国基連が設けている「事前受付」の締め切り日だ。7~8月中に早めに書類を提出しても法施行後の「10月加入扱い」にしてくれる措置という。「いつまでに、何を」の締め切りが見えにくく混乱するが、最終的には10月20日の締め切りに間に合えば、晴れてイデコデビューが可能だ。まずは早めに金融機関選びという山を越えよう。

山本由里(やまもと・ゆり)
1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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