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バイデン大統領の支持率急上昇、不気味な経済兆候も

ブリンケン米国務長官が6日、ロシア産原油輸入禁止を検討中と発言したことで、原油暴騰が週明け株価の下げ材料となった。更に、ロシアの貿易最恵国待遇の停止も検討しているとされる。

ロシア産原油を禁輸にすると、産油国としてイランとベネズエラが漁夫の利を得る可能性もあるので、米国としても苦渋の決断となろう。

米国内ではバイデン大統領の支持率が急上昇中だ。NBC調査によれば、2月の34%から52%に上がっている。不支持率は50%から44%に低下した。とはいえ、対ロシアの政策対応に決定打を欠く状況では、バイデン氏も素直には喜べまい。これは、市場も認識を共有するところで、マネーの安全資産への逃避が更に加速している。

4日には雇用統計が発表され好調な数字が並び、利上げ論には追い風となったが、市場はほぼ完全に無視した。

米債券市場では、安全資産として米国債が買われた結果、10年債利回りは1.7%台まで下落している。

外為市場では、欧米市場で円より安全通貨と見なされている米ドルが買われ、ドルインデックスが急騰。98の大台を突破している。

更に、市場の期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(10年)が、直近で2月1日には2.43%であったが、3月4日には2.67%をつけている。対して、米10年債の名目利回りは、1.7%台に反落。結果的に、ドル実質金利のマイナス幅が拡大中だ。これは中期的に株などのリスク資産に追い風となる。

いっぽうで、米2年債名目利回りは粛々と上昇傾向を辿り、1.4%台に達している。長短金利差の代表的指標として注目される10年債と2年債の利回り格差(スプレッド)が2月1日の0.63%から3月4日には0.24%にまで縮小してきた。逆イールドが完全に照準に入った。政策金利動向を映す2年債利回りは着々と米連邦準備理事会(FRB)の利上げを織り込み、景況感を示す10年債利回りは経済指標の悪化傾向のなかで伸び悩んでいることを示すので、株式市場も警戒感を強める。

FRBとしては、資産圧縮プログラムにより保有長期債を売却すれば、10年債利回りも上昇するので、イールドカーブをコントロールできる。ただし、まずはFRB保有の住宅ローン担保証券(MBS)を減らして、米国債保有配分を増やす方針だ。それゆえ、長短金利差正常化へ機動的に動くことは難しい。

なお、今週10日に2月の米消費者物価指数が発表になる。15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)前の最後の重要経済統計指標だ。

仮に長短金利逆転が起きると、FOMCでの利上げ議論にも影響を与えるであろう。

地政学的リスクと逆イールドリスクが当面の市場の注目点である。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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