22年12月の投資信託 1年ぶりに1兆円超の資金流入
2022年12月の国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETF=を除く)の資金動向は、設定額から解約・償還額を差し引いて1兆168億円の資金流入超過だった(QUICK資産運用研究所推計)。1兆円を超えるのは21年12月以来1年ぶり。前月の資金流入額を大幅に上回り、25カ月連続で設定額が解約・償還額を上回った。

投資対象の資産別(QUICK独自の分類)でみると、最も資金流入したのは先進国株式型で、3000億円を超えた。また、国内株式型は前月の約400億円の資金流出から、約2200億円の資金流入に転じた。その他、国内債券型と新興国債券型を除く全ての分類に資金が流入した。
個別(ETF、DC・ラップ・SMA専用などを除く)では、積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)対象のインデックス型(指数連動型)や新規設定の限定追加型ファンドなどが資金流入上位に並んだ。

資金流入額が最も大きかったのは、三菱UFJ国際投信が運用する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の843億円で、4カ月連続でトップを維持。個別ファンドの年間資金流入額でも、22年1月から12月までの1年間で7358億円の資金が流入し、2位以下を大きく引き離してトップだった。主にネット証券経由でつみたてNISAを利用した購入が増えていることなどを背景に、高水準の資金流入が続いている。同シリーズの「全世界株式(オール・カントリー)」も591億円の資金流入超過で月間3位にランクイン、年間ランキングでも3位だった。
21年の年間資金流入額ランキングでは9000億円超の資金を集めてトップだった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は、米国の利上げやインフレ懸念などで主な投資先である米国株式に調整圧力がかかり、運用成績が悪化したことなどを受けて資金流入額が鈍化、22年の年間では2位に後退し、12月の月間ではランキング圏外だった。
月間2位はゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが22年12月2日に新規設定した「GSグローバル社債ターゲット2022-12(限定追加型)<愛称:ワンロード2022-12>」の715億円だった。同ファンドは主に日本を含む世界の企業などが発行する米ドル建てまたはユーロ建て債券(ハイイールド債を含む)に投資する限定追加型で、外貨建て資産には原則として為替ヘッジをする。
9位に入った、ニッセイアセットマネジメントの「ニッセイ/シュローダー好利回りCBファンド2022-12(為替ヘッジあり・限定追加型)」も22年12月に新規設定された限定追加型ファンド。
一方、月間の資金流出超過額が最も大きかったのは、マニュライフ・インベストメント・マネジメントの「マニュライフ・円ハイブリッド債券インカム・ファンド(年1回決算型)」で82億円の流出超過だった。
流出2位はアセットマネジメントOneの「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」で、75億円の資金が流出した。運用悪化などで21年12月以降、月次ベースでの資金流出が続き22年の1年間で935億円の資金が流出、年間の流出超過額ではトップだった。
(QUICK資産運用研究所 竹川睦)