「雇用統計にだまされるな」FRB高官異例の警鐘
本日発表の1月の米雇用統計は、非農業部門新規雇用者数のマイナス(減少)が予想されている。15万人減、なかには40万人減予測もある。増加予測でもプラス7万人程度。10万人を超える増加になればサプライズとなりそうだ。既に発表されている米民間雇用サービス会社ADPの雇用統計も、30万1000人の減少となっている。
これは、ひとえに新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の影響が大きい。「無給休暇」は失業と見なされるからだ。
それゆえ、大方は一過性の減少とみている。これにより、米連邦準備理事会(FRB)の引き締め政策が影響されることはなさそうだ。
ブラード・セントルイス地区連銀総裁も「だまされてはいけない。経済も労働市場も非常に強い」と語っている。年内には失業率が3%以下に下がるであろうとみている。
ホワイトハウス高官たちからも、今回の雇用統計は異例の低さになる可能性が指摘されている。雇用統計発表の当日は、必ずバイデン大統領が記者会見で雇用増を誇らしげに語ることが慣例となっているので、予防線を張っているのだ。サキ報道官も「まぁ、予告といえよう」と語っている。
さて、メタ(旧フェイスブック)・ショックのその後だが、結局、時間外の段階で時価総額の20兆円相当が消えるという異常事態となった。ハイテク株バブルのメルトダウンなどと市場では語られた。
しかし、けさの日本時間朝6時すぎにも、再び異変が生じた。
懸念されていたアマゾンの決算発表が好調で、同社株価は引け値7%安が時間外で15%前後急反発したのだ。メタ暴落で連想売りされたスナップも23%安が一転56%高。ナスダック先物指数も300近く急反騰している。
ここまでボラティリティー(価格変動性)が激しくなると、素直には喜べず、一般的な市場心理としてはますます警戒感が強まる。
熱烈歓迎しているのは、一貫して押し目買いに動いていた米国個人投資家集団(レディットマネー)くらいか。おなじみのロケット絵文字を並べ歓喜の声をあげている。しかし、彼らはメタ株も買い持っており、悲鳴に近い声も聞こえてくる。
今回の米企業決算シーズンは、じっくり企業の実力を測るというより、投機が先行する相場大荒れの局面と化してしまった。

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