東証新市場、取引初日終了 プライム銘柄7割が上昇
東京証券取引所は4日、新たな「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場での取引初日を終えた。東証1部に代わる最上位市場の位置づけとなるプライムは買いが先行し、終値で67%の企業が値上がりした。日経平均株価は4営業ぶりに反発し、前週末比70円(0.3%)高の2万7736円で取引を終えた。
世界経済をリードする企業が上場するプライムの個別銘柄ではソニーグループが1%高となった。トヨタ自動車と三菱UFJフィナンシャル・グループは横ばいだった。プライムは上場企業全体の半分にあたる1839社が上場する。
国内を基盤とするスタンダードに上場するのは1466社。プライムの上場基準を満たしながらあえてスタンダードを選んだミツウロコグループホールディングスは2%高、同様にスタンダードを選択した大正製薬ホールディングスは1%高だった。プライムの基準を満たせなかった自動車用鍵大手のアルファは3%高前後だ。
小規模でも高い成長が期待されるグロースでは、4日に新規上場したセカンドサイトアナリティカは買い気配のまま売買が成立せず、初日の取引を終えた。グロースには466社が上場する。
4日の取引開始前の式典では日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者(CEO)が「上場企業の持続的な成長と魅力的な市場提供が狙い。東証に上場する3771社の中長期的な企業価値を高める新たな取り組みに期待している」と話した。
今回の改革の目玉の一つは、上場を維持するための基準を上場基準と統一して厳しくしたことだ。例えば、プライムなら上場維持基準は流通時価総額100億円になる。時価総額10億円未満で上場廃止としていた東証1部の基準よりハードルは高く、株価の下落が続くと下回る。
プライムの上場維持基準を満たさないが、経過措置を活用してプライムに上場する企業は295社ある。スタンダードも経過措置の適用企業が209社ある。こうした企業が利益成長や投資家向け広報(IR)の積極化で企業価値を伸ばしていくことで基準を上回るかどうかも焦点になる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは「企業統治を重視する市場体制になったことは評価できる。今後はプライムを中心に形式基準を引き上げ、より優れた企業の集まりとなってほしい」と話す。