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激甚化する風水害 火災保険でしっかり備える

自然災害への備えを総点検(中)

3.11を前に自然災害への備えについて改めて考える「自然災害への備えを総点検」。2回目は、被災後の生活再建の鍵を握る火災保険への適切な加入の仕方について解説する。

加入している保険の中身を再確認

自然災害で自宅が全壊するなど大きな被害に遭った時、生活を再建するのに必要なお金を確保するには火災保険への加入が必須だ。火災保険は一般的に、住宅ローンを借り入れて住宅を取得する際に加入が義務付けられている。そのため、加入しそびれることはないが、よく確認せずに契約していて中身がよく分かっていないというケースが多い。

だが、火災保険は被災した時の経済的な支えとして非常に重要。火災保険の基本をしっかり押さえ、加入している保険の内容を確認しておきたい。

自然災害で被災した時、「国が何とかしてくれる」と思っている人もいるかもしれないが、国の被災者生活再建支援制度による給付は最大で300万円。プラスして自治体からの補助などがあったとしても、自宅が全壊して建て替えることになったら、それだけでは全く足りない。十分な貯蓄があっても、それを使ってしまうと老後資金が不足することもあり得るので、火災保険への加入は不可欠と言える。

加入している火災保険について、まず確認しておきたいのは補償範囲。火災保険は火災だけでなく、破裂・爆発、落雷などの被害も対象となる。最近はそれに加えて、水災、風災・ひょう災・雪災といった自然災害も対象とする「総合型」が一般的だ。さらに、水ぬれや盗難、臨時費用なども補償するタイプもある。補償範囲が広いほど、保険料は高くなる。

保険会社や商品によって何を補償対象とするかには違いがある。マンションの高層階などで水災の心配がない場合に、水災補償を外せるかどうかも保険会社によって異なる。火災保険は、地震による被害は補償の対象外であることも知っておくべきだ。地震に備えるには、火災保険に地震保険をセットしておく必要がある。

建物と家財の両方が必要

火災保険は建物と家財の両方に必要だ。自然災害などで自宅が大きな損害を受けた場合、建物を建て直す他に、使えなくなった家具や家電製品を買い直す必要もあるからだ。賃貸住まいの場合、建物は自分のものでないので保険は不要だが、家財の損害については自分自身で保険に加入しておく。

マンションの場合、専有部分は所有者が建物・家財の保険に加入し、共用部分は管理組合が火災保険・地震保険に加入する。

保険金額の設定にも注意したい。火災保険は、自宅が全壊して住めなくなった時に建て直せる金額で契約する。老朽化した建物でも建て直しの費用はかかるので、保険金額は新築するのに必要な額にする。家財は保険会社が設定した年齢や家族構成による目安額で契約するケースが多いが、今ある家具・家電製品・日用品などの価格を積み上げて、暮らしぶりに応じた契約金額を決めることができる。

近年は台風などによる集中豪雨が激甚化していて、水災補償の重要性が高まっている。河川から遠い場所でも、低い土地だと大雨で浸水することがあるし、マンホールから雨水があふれる内水氾濫のリスクもある。加入している火災保険に水災の補償があるかどうかは確認しておきたい。

水災補償があったとしても、床上浸水か地盤面から45cm超の浸水などの場合でないと補償は受けられない。地震など豪雨以外が原因の土砂崩れなどは水災に当たらず補償対象外である点には注意が必要だ。

火災保険料は「必要経費」

火災保険は損害保険会社が扱っているが、火災や自然災害を補償する共済もある。基本の保障額が同じなら火災保険の保険料より共済の掛け金の方が安いことが多い。ただし共済の場合、自然災害で支払われる共済金に上限があって、被災した時に損害額をカバーしきれない可能性がある。共済に加入している人は、保障額が十分かを必ず確認しておこう。

火災保険の保険料は損害保険料率算出機構が過去のデータを基に算出する「参考純率」がベースで、おおむね保険会社によって大きく異なってはいない。保険料の差の大部分は補償の範囲や特約、自己負担額などによると考えられる。

気候変動の影響で台風や集中豪雨などによる損害は過去に比べて大型化し、参考純率もだんだん上がってきている。火災保険は、以前は最長36年間の長期契約が可能だったが、2015年10月からは最長10年になり、22年10月以降は大手損保で最長5年の契約となる。保険会社からすると、契約期間を短くすることで保険料を値上げしやすくなる。

ファイナンシャルプランナーの清水香さんは、「この先、火災保険料が下がることはないだろう」と話す。「それだけ自然災害リスクが高まっているということ。火災保険は必需品であり、火災保険料は生活基盤を守るための必要経費と考えたい」(清水さん)

(ファイナンシャルプランナー・馬養雅子)

[日経マネー2022年4月号の記事を再構成]

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