決算発表 株価を決める企業の通信簿
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決算発表とは、企業が最新の経営状況と財務状況を公表することです。企業にとっては、現状の経営成績がわかる通信簿を発表する場ともいえます。投資家にとっては、投資をするかどうかの重要な判断材料になります。
証券取引所が迅速な情報開示を目的に上場企業に開示を義務づけているのが決算短信です。定められた共通の書式で公表され、売上高や利益の動向を示す損益計算書(PL)、資産の状態を表す貸借対照表(BS)などの財務諸表のほか、企業集団や企業統治の状況といった定性情報が記載されます。実績値はもちろん、年度通期や翌年度に関する予想も重視されます。

日本で大半を占める3月期決算企業は、4月下旬から5月中旬にかけて年度の本決算を発表します。上場企業は3カ月ごとの業績を開示する四半期決算も義務付けられています。つまり年に4回、投資家は企業の業績を確認する機会があるということです。通常は期末から1〜2カ月以内に開示されます。
投資情報で重要なのが1株当たりの指標です。まず「1株当たりの純利益」は、株価と比較することで予想PER(株価収益率)を導き出せます。PERを全銘柄の平均値や同業他社と比べれば、株価が割高なのか割安なのか判断できます。
「1株当たりの純資産」は企業が仮に活動をやめてすべての負債を支払った後に残った資産、つまり会社の解散価値を示します。これを株価と比較したのがPBR(株価純資産倍率)です。
決算には単独決算と連結決算があります。企業グループ全体の業績や財務状況を映すのが連結決算です。単独決算ではわからなかったグループ企業の損失を抱えていることや、反対により強力な収益力を持つ分野がグループ内にあることなどが分かります。近年、海外進出や事業の多角化などで複雑化する企業の実像をとらえるのに、連結決算は欠かせません。