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日銀、22年の国債購入額110兆円超す 6年ぶり高水準

(更新)

日銀は4日、2022年12月の長期国債の買い入れ額が16兆1809億円だったと発表した。年間の購入額は111兆607億円と長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を導入した16年(119兆2416億円)以来の高水準となった。日銀の政策修正観測で長期金利に上昇圧力がかかり、金利を抑え込むための買い入れが膨らんだ。

日銀は短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導するYCCを16年9月から続けている。22年は世界でインフレが進み、米欧の中央銀行が利上げに動いた。日銀もいずれ政策を修正するとの思惑が浮上し、海外投資家を中心に国債売りが加速した。

日銀は6月に過去最高の16兆円を超える国債を購入するなど、防戦買いを余儀なくされた。日銀が操作対象の10年債利回りを強く抑え込んだために、利回り曲線のその部分だけが極端に低くなってしまう「ゆがみ」が発生。企業や地方自治体の資金調達にも悪影響が広がり、日銀は12月、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.25%程度から0.5%程度へと拡大することを決めた。

だが、海外勢の国債売りの動きは収まっていない。財務省によると、海外投資家は12月18~24日に国内の中長期債を4兆8623億円売り越した。国債売りが最初のピークを迎えた6月中旬を上回り、比較可能な14年以降で最大となった。長期金利は12月21日に一時0.48%を付け、政策修正前の0.25%程度から急上昇した。

幅広い年限の国債利回りが上昇し、日銀は指定した利回りで国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」や臨時の国債買い入れを連日実施している。日銀はオペを通知した翌営業日に国債を買い入れており、22年の最終営業日である12月30日にも1兆円の臨時買い入れを通知した。通知日を基準とした12月の国債購入額は17兆円を超え、6月を抜いて過去最大となった。

日本経済研究センターの試算によると、米長期金利が現在の水準に近い3.75%で日銀がYCCを撤廃すると、日本の長期金利は0.82%まで上昇する。許容変動幅を拡大したとはいえ、日銀が長期金利を実力より低い水準に抑え込む構図が続いているといえる。市場参加者はさらなる政策修正があり得るとみて、国債売りを急いでいる面がある。

日銀は1月に示す生鮮食品を除く消費者物価指数の前年度比上昇率の見通しを上方修正する検討に入った。政府・日銀が掲げる2%に近い水準で物価が高止まりすることになり、緩和修正観測がさらに強まる可能性もある。黒田東彦総裁の任期切れが4月に迫るなか、日銀と市場の攻防が激化する局面が続きそうだ。

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