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数億円を運用する会社員投資家 東証再編を利用して稼ぐ

スゴ腕の個人投資家が伝授 新年度相場の攻略法(4)

不透明感を増す2022年度の日本株相場に、スゴ腕の個人投資家たちはどう挑もうとしているのか――。彼らの戦略を探るシリーズの最終回は、「イベント投資」と呼ばれる独特の投資手法で数億円の資産を運用する会社員投資家が登場。22年度に手掛けようとしている投資の具体的な内容を解説する。

会社員投資家の羽根英樹さんは、「イベント投資」と呼ばれる投資法のエキスパートの一人。2019年には、イベント投資の解説書『イベントドリブントレード入門』(パンローリング)を出版している。

イベント投資は、特定のイベントに合わせて株価が特有の動きを示す現象に着目し、それを利用して利益を上げる投資法の総称だ。TOB(株式公開買い付け)、公募増資、株主優待を得る権利の確定など、売買に利用するイベントに応じて多様なパターンがある。羽根さんは、新年度の株式相場でどのようなイベント投資を実践しようとしているのだろうか。

東証再編で3つのトレード

「まずは東京証券取引所の市場再編を利用したイベント投資を手掛けようと考えている」と羽根さんは明かす。

市場再編では、かつての東証1部・2部、新興企業向けのマザーズ、ジャスダックが全て廃止された。代わって、グローバル企業を念頭に置いた「プライム」、中堅企業向けの「スタンダード」、成長企業向けの「グロース」の3市場が新設された。

「東証1部以外に上場していて、再編に伴ってプライムに移るとみられていた銘柄の大半がスタンダードやグロースにとどまった。その中から、再編の後にプライムへの移行を申請する銘柄が出てくると見込んでいる」(羽根さん)

時価総額の大きい銘柄がプライムに昇格すると、TOPIX(東証株価指数)に組み入れられる可能性が高い。そうなれば、プライム上場銘柄やTOPIXの組み入れ銘柄を購入対象にする機関投資家や投資信託の買いが集まり、株価が大きく上昇する――。

羽根さんはこう推測する。そこでプライムへの移行を申請した時価総額の大きい銘柄を買い、値上がりを待ち構える作戦だ。移行を申請する可能性が高い銘柄として、時価総額の大きい日本マクドナルドホールディングスフリーそーせいグループフェローテックホールディングスの動向をチェックしている。

さらに今後、プライムから脱落する銘柄が続出するとみる。旧東証1部に上場していた銘柄のうち、現状ではプライムの基準を満たせず、「上場維持基準の適合に向けた計画書」を提出する経過措置でプライムに残留した銘柄が296社ある。「実際に計画を遂行して基準をクリアする銘柄はそう多くはないだろう」と羽根さんは予想する。

プライムから脱落すると機関投資家や投信の購入対象から外れて売り込まれ、大きく下落する可能性が高い。そこで、貸株対象の銘柄を空売りして利益を出す考えだ。

また、親会社の保有比率が高いために新設3市場のいずれの上場維持基準も満たせず、上場廃止になる可能性の高い銘柄が多い点にも注目する。親会社がTOBなどで完全子会社にするケースが出てくると予想する。このケースではTOBの対象銘柄を買い、TOBに応じて利ざやを得る作戦だ。

コロナ禍の収束も視野

羽根さんは新型コロナウイルスの感染拡大の収束も視野に入れている。「収束することがある程度見えた段階で、コロナ禍で赤字に陥り、価格も大きく下がっている航空会社株や観光関連銘柄、ホテル系のREIT(不動産投資信託)などを買う」(羽根さん)。前日の終値から数パーセント下の値段に逆指し値を入れながら、上値を追っていくことを検討している。

(中野目純一)

[日経マネー2022年5月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年5月号 新年度の稼ぎ方&上がる株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2022/3/19)
価格 : 750円(税込み)
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