英中銀0.5%利上げ、政策金利4%に 08年以来

【ロンドン=大西康平】英イングランド銀行(中央銀行)は2日、政策金利を年3.5%から4%に引き上げると発表した。利上げは10会合連続で、利上げ幅は2会合連続の0.5%だ。賃金上昇を伴う根強い高インフレのリスクを懸念して大幅な利上げを続ける。ただ2023年は物価上昇率が大きく鈍化する見通しを出した。市場では利上げ幅の縮小や一時停止の可能性が指摘されている。
1日まで開いた金融政策委員会で決定した。政策金利が4%以上に決まるのは、2008年10月以来。声明文では「労働市場は逼迫し、物価や賃金の上昇圧力は予想以上に強く、インフレが残り続けるリスクがある」と強調した。22年12月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比10.5%上昇。約41年ぶり高水準の10月の11.1%からほぼ鈍化していない。
一方でガス価格の下落や供給網の混乱が和らいだことで「英国を含む世界のインフレはピークに達したようだ」と指摘した。合わせて発表した四半期ごとの金融政策報告書では、23年10〜12月期のCPI見通しは前年同期比4%上昇と、前回(22年11月)の5.25%から下方修正した。イングランド銀行のベイリー総裁は会見で「24年春以降のCPIは(2%の)目標を下回る」と発言した。
声明文では「もしインフレ圧力がより根強くなることを示す証拠が出れば、さらなる金融引き締めが求められる」と利上げに条件を付けた。市場予想では、次回の3月会合で政策金利を4%のまま据え置くとの見方が、前日の2割から発表後に4割へ増えた。
金融政策委員会では投票権を持つ9人のうち、ベイリー総裁を含む7人が0.5%の利上げに賛成した。他の2人は政策金利の据え置きが適切だと主張して反対した。ただ見通しには大きな不確実性があるともしている。
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