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趣味のお金は意外に大きい 現役時代に2000万円も

趣味と生きがいのお金(1)

今月のテーマは「趣味と生きがいとお金の関係」にしてみます。趣味と生きがい、そしてお金のつながりまでがセットです。これらは別々に考えるのではなく、一体として考えることが重要です。

趣味や生きがいは結構お金がかかる

私たちは大なり小なり趣味や生きがいを持っています。仮にYouTubeの動画配信を見ることしか趣味がないという人であっても、1日当たり3時間視聴しているとしたら、年間で約1000時間を費やしています。これはもはや趣味のひとつです。毎日1本映画を見ているのと同じくらいの時間をつぎ込んでいるわけです。

無料動画配信であれば基本的にお金はかかりませんが、スマホやタブレットを購入し、通信費の負担をしています。費用はゼロではありません。

はっきりお金がかかる趣味を楽しむ人もいます。例えば、毎月何万円も使ってコレクションをしている人や、アイドルやミュージシャンを全国各地まで追いかけているアクティブなファンが思い浮かびます。確かに使っているお金は高額ですが、彼らや彼女らは皆楽しそうにしています。

コンサートツアーのファイナルで、ミュージシャンとファンが一体となった感動を得た人は「この瞬間をまた楽しむために、仕事を頑張ろう!」と思うはずです。趣味は働きがいにつながることもあります。

趣味にはお金がかかりますが、無駄遣いではありません。ある意味、精神的健康を買っているともいえます。お金を投じただけの笑顔や満足を手に入れており、それが生きがいにもなっているからです。

パチンコや競馬だって、無理のない範囲で楽しんでいる限りは精神的リフレッシュとして悪いものではありません。問題は予算です。

程度の差はあれど、趣味とお金の問題は避けては通れない問題のひとつです。

現役時代、趣味や生きがいに2000万円かける

趣味にかかるお金を統計的にみてみましょう。総務省の家計調査年報では「教養・娯楽費」「交際費」あたりがこれに該当します。旅行に出かける人の交通費やネットを楽しむ人の通信費なども厳密には趣味の予算かもしれませんが、今回は除外してみます(以下、新型コロナウイルス禍前の2019年データ)。

22歳で新社会人になって65歳まで働くと仮定します。単純に43年分を掛け合わせるのは乱暴ですが、あえて概算してみると、

おひとりさまの現役時代の趣味予算総額  1733万円
家族の現役時代の趣味予算総額      2546万円

ということになります。ざっくり「趣味や生きがいに2000万円」を私たちは現役時代に使っているというわけです。

子どもの高校・大学の学費として1000万円、老後に2000万円、住宅購入に3000万円――と高額出費が必要な資金をイメージしますが、実は趣味や生きがいのための費用もそれらに匹敵する高額予算なのです。

家族ができれば変化することも

本連載は若手ビジネスパーソン向けのコラムですが、趣味や生きがいのコストは「自分」のためのものだけではありません。

読書やゲームなど個人的に楽しむ趣味があります。その先にはグループで楽しむ趣味があります。キャンプやバーベキュー、旅行などがそうです。

さらにその先では家族が誕生することにより、趣味の出費は自分ひとりのものだけではなくなっていきます。

私は、映画鑑賞も旅行も遊園地もほとんど興味がないタイプでしたが、ここ数年は年4~5本くらい劇場に足を運び、いろんなところへ出かけるようになりました。「鬼滅の刃」「呪術廻戦」「ドラえもん」などを見に行く理由の半分は、子どもを連れて行くということです。劇場から出てきたとき、キラキラした目で感想を語る様子を見ると幸せな気持ちになります(残り半分はもちろん自分自身の楽しみですが)。

家族と過ごす時間が幸せを生み出す一方で、趣味予算の配分には慎重になる必要が出てきます。単身者の趣味予算に比べて、家族の予算は5割増しくらいになるにもかかわらず、1人当たりの予算は少しダウンするからです。

だからといって自分だけの趣味を捨て去ることはありません。予算管理に気を配りながら細く長く趣味を続けていくのもまた大人の楽しみです。

コストを「見える化」してみよう

先月は家計管理術について書き、支出の「見える化」の大切さを訴えてきました。趣味や生きがいのコストもやはり「見える化」が大切です。

趣味や生きがいのためにお金を使うことは問題ありません。好きなことに没頭する時間は精神のリフレッシュにもなり、また趣味から得られる刺激が新しい労働意欲を生み出す力にもなります。

しかし「いくらかかっているのか、よく分からない」というのは問題があります。

スマホゲームに課金するのはいいとしても、月額上限をコントロールしているのと、無制限に突っ込んで実態が分からなくなっているのではまったく意味合いが異なります。

趣味のコストが生活費を圧迫したり、赤字転落したりはしていないでしょうか。今年は特に物価高ですから、緊急避難的に趣味予算を削って急場をしのぐ必要があるかもしれません。

もし、先月からの流れで家計簿の記帳ができている人は(もちろんスマホアプリで!)、教養・娯楽費や交際費に毎月どれくらい使っているかチェックしてみましょう。

無制限に趣味予算が設定されるのではなく、家計管理の中で無理のない予算設定を行うようにしましょう。それが、大人のステージに入ってからの趣味や生きがい獲得の第1ステップです。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「日本版FIRE超入門」(ディスカバー21)など。http://financialwisdom.jp
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