日銀副総裁、長期金利の変動幅再拡大「慎重に判断」

日銀の若田部昌澄副総裁は2日の記者会見で、2022年12月の金融政策決定会合で長期金利の許容変動幅を拡大した理由について「緩和の持続性強化という意味で必要な措置だった」と話した。債券市場の改善については「やや時間がかかっている」として、変動幅の再拡大は「慎重な上にも慎重に判断しなければいけない」と語った。債券市場では同じ満期の国債でも金利水準が異なるといった歪(ゆが)みがなお残っている。
静岡市で開いた金融経済懇談会後に会見した。2013年から続く大規模な金融緩和政策については「全体として効果が副作用を上回っている」と総括した。副総裁としての在任期間中に2%の物価安定目標が持続的・安定的に達成されなかったことは「反省している」と述べた。
物価目標が未達となった金融政策の検証については「まずは足元の政策をきちんと遂行しなければいけない」として否定的な見方を示した。足元の物価高で2%に向かう動きは出てきたものの「確信が持てる状態にはまだない」との見方を示した。
令和国民会議(令和臨調)は1月30日に政府・日銀の共同声明に関して2%の物価目標を長期的な目標に見直す提言を行っている。若田部副総裁は「個別の提言についてコメントすることは差し控えたい」とした上で「(大規模緩和の)効果はあったという事実を踏まえた上での議論がなされるべき」との考えを示した。
企業の賃上げ動向が金融政策に与える影響に関しては具体的な言及を避けた。任期満了が迫る日銀の正副総裁の人事や今後どういった金融政策が望ましいかは「コメントできない」とした。
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