イオン系、マレーシアでネット銀開業へ 23年度めど
イオンフィナンシャルサービスは2日、マレーシアでインターネット専業銀行の免許を取得したと発表した。2023年度をめどに、預金や保険、少額ローンなどを扱う無店舗型のネット銀行の開業をめざす。技術面で米フィンテックのマネーライオン社と協力し、人工知能(AI)を使った分析で家計管理の支援なども提供する。
4月29日にマレーシアで認可が下りた。マレーシア中央銀行が支店を持たないネット銀行のライセンスを出したのは今回が初めてで、同時にシンガポール配車大手のグラブやネット通販大手のシーなど計5陣営が認可を得た。
イオンフィナンシャルは1996年に現地法人のイオンクレジットサービスマレーシアを設立。同国でのクレジットカードなどの会員数は足元で約240万人にのぼる。これまではクレジットカードや個人ローンなどが中心で、イオンの小売事業とのアプリ連携なども進めてきた。
同社は開業にあたり、イスラム教の教義に対応した「イスラム金融」を提供する。シャリア(イスラム法)で金利の徴収の手法などに制約がかかる。マレーシアでは6割超がイスラム教徒のため、イスラム金融方式を採用し、より現地に根ざした金融サービスとする。
東南アジアでは銀行口座の普及率が低く、既存の金融サービスを受けられない人も多い。「金融包摂」を実現する一つの手段として、預金から少額ローンまでさまざまな金融サービスがアプリ上で完結するネット専業銀行が勢いづいている。