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資産5億円超の配当株投資家 高配当株より成長株を物色

スゴ腕の個人投資家が伝授 新年度相場の攻略法(3)

不透明感を増す2022年度の日本株相場に、スゴ腕の個人投資家たちはどう挑もうとしているのか――。彼らの戦略を探るシリーズの3回目に登場するのは、高配当株と株主優待のある銘柄の売買を主軸とする専業投資家。配当と優待で生活費を賄っているというスゴ腕の取り組みを見ていく。

かんちさん(ハンドルネーム)は、49歳だった2011年4月に公務員を早期退職して、専業投資家に転身した。株式投資の主軸は配当利回りの高い高配当株と株主優待のある銘柄の売買。運用資金は株式投資に振り向け、年1400万円に達する配当(税引き前)と優待で生活費を賄っている。保有株の時価評価額は約5億4000万円に上る。

保有株の内訳は、大別すると高配当株が5割、優待株が3割、企業業績の拡大に伴う値上がりを期待するグロース(成長)株が2割という配分だ。「最近は優待株の保有を減らしてウエートを下げている」とかんちさんは明かす。

「今年4月に実施された東京証券取引所の市場再編で、上場企業は新たに所属する市場が確定した。それを受けて、優待で株主を増やす必要がなくなった企業で、優待を廃止したり、優待の内容を縮小したりする動きが広がっている。これがウエートを下げている理由だ」

スタグフレーションを警戒

コロナ禍が広がって相場全体が下落した折に、かんちさんはインフレに対する耐性の高い銘柄や、金利の上昇が追い風になる銘柄を購入した。前者の具体的な銘柄は、三菱商事などの総合商社株や資源開発最大手のINPEX。後者は、メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ三井住友フィナンシャルグループや地方銀行株だ。

これらの保有株の多くが買値の1.5~2倍に上昇。かんちさんはインフレと景気悪化が同時に進行するスタグフレーションの到来を警戒しているが、インフレに耐性のある銘柄は軒並み高値水準にあり、「今から買い増しできる状態ではない」と話す。

そこで、業績は拡大基調であるにもかかわらず、新興企業株が全般的に嫌気され、それに伴って大きく値下がりした時価総額100億円未満の小型グロース株を物色している。

20年3月に旧マザーズに上場したドラフトはその一つ。同社はオフィスや店舗の内装デザイン、設計・施工を手掛けている。21年12月期の売上高は80億円で、当期純利益は5億円。22年12月期の業績予想は、売上高が前期比24.5%増の100億円、当期純利益が同4.4%増の6億円になる見通しだ。

かんちさんが注目したのは、同社の意欲的な中期経営計画。28年をめどに売上高を300億円に増やすことを目標に掲げる。これは22年12月期予想の3倍に当たる。

GIS(地理情報システム)を構築するための基本ソフトを開発・販売するドーンについては、消防機関向けに開発した映像通報システムが東京消防庁と大阪市消防局に採用された実績に目を付けた。「他の都市や地方に導入が広がり、業績が拡大することを期待している」と狙いを語る。

一方、コロナ禍でフォトウエディング(写真婚)のニーズが高まり、業績の拡大が続くデコルテ・ホールディングスにも注目。この銘柄では、予想PER(株価収益率)が10倍を下回って割安になっている点も考慮に入れたという。

「どの銘柄の成長にも確信を持ててはいない。10銘柄に投資したら、半分は失敗してもいいという姿勢で投資している」とかんちさんは打ち明ける。

相場対応は前もって決める

ロシアによるウクライナ侵攻で不安定な展開に拍車がかかった相場への対応を聞くと、かんちさんは次のように答えた。

「予想しても当たらないので、相場の先行きは予想しない。代わりに相場が急落したらどうするか、急騰したらどう動くかの方針を前もって決めている。異変が起きてから対応を考えることはない」

この先に相場がさらに下落すれば、数年で業績の回復が期待できる割安株を10銘柄ほどピックして買い下がる。逆に相場が反発すれば、総合商社株や銀行株を売却して利益を確定する方針だ。

「不安定な相場では高配当株を多めに組み入れておくといい。相場全体が下落する局面でも、下げ幅が他のタイプの銘柄に比べて小さいことが多いからだ」

かんちさんはこう指摘して、次のように続ける。

「私自身は運用資金を全て株に振り向け、配当と優待を受け取りながら相場の回復を待つ」

(中野目純一)

[日経マネー2022年5月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年5月号 新年度の稼ぎ方&上がる株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2022/3/19)
価格 : 750円(税込み)
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