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穀物の需給 中国の輸入量が相場に影響

キソから!投資アカデミー 商品⑱

穀物相場は2000年代前半と比較すると大幅に上昇しています。人口増加や生活水準の向上に伴い、中国や新興国の食糧需要が拡大したことが背景にあります。

経済成長で食生活が豊かになって牛肉や豚肉の消費が伸び、穀物需要が拡大しました。トウモロコシは主に家畜の飼料になります。食肉の消費量が増えたことで、トウモロコシの需要も増えました。

特に影響が大きいのが中国の輸入拡大です。トウモロコシを例にとると、08〜09年度までは中国のトウモロコシ輸入はほぼゼロで輸出国でした。しかし09〜10年度から輸入国に転じました。米農務省(USDA)の需給報告で20〜21年度の輸入は約3000万トンと世界最大規模でした。家畜伝染病のアフリカ豚熱(ASF)の流行で19年に豚肉の供給が落ち込み、豚の増産に取り組むなかで輸入量が急増しました。

大豆も中国の輸入が年々拡大しています。大豆は飼料の他に、食用油の原料にもなります。中国では工場建設などインフラ整備が進んだ結果、農業に必要な土地や水の確保が難しくなったとの指摘もあります。20〜21年度の大豆輸入は約1億トンとトウモロコシと同様に単一国として最大です。中国の輸入はシカゴ先物の売買材料になっています。

バイオ燃料向けの利用拡大も穀物需要を押し上げています。米国は脱炭素などを狙い、トウモロコシから作るエタノールを自動車燃料向けに普及しようとしています。米国のエタノール需要の予測も相場が動く要因です。大豆から作る大豆油も南米や米国でディーゼル燃料として使われています。

これらの需要動向は、米農務省が毎月公表する需給報告で確認できます。燃料利用が拡大したことで穀物相場は原油との連動性が高まったとの指摘もあり、他の商品や株式相場などの影響も受けやすくなっています。投資の際は穀物固有の事情だけでなく外部環境にも留意が必要です。

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