穀物相場の変動要因 作付けから収穫まで市場は注目
キソから!投資アカデミー 商品⑰
穀物相場を動かす大きな要因が生産量です。生産量は産地の天候によって大きく左右されます。取引量が多いトウモロコシと大豆の主な産地と天候の影響について説明します。
トウモロコシの世界最大の生産国、米国の作付け時期は4〜6月です。その後の7〜8月がトウモロコシの生育に最も重要な受粉期です。例年、9月中旬までに粒が固くなり、10月以降収穫されます。作付けから収穫までは産地の天候に反応して先物相場が大きく動きます。
「天候相場」といわれ、日々の産地の天候により相場が乱高下しやすい時期です。主要な生産州での作物の植え付け、収穫の進行などは米農務省(USDA)が、この時期に限り毎週公表しています。

大豆はトウモロコシにやや遅れて、5〜6月が米国での作付け時期です。7〜8月に開花、受粉し、9月中旬ごろまでに結実します。トウモロコシと同様に夏場の天候が生産量を左右します。
大豆の場合、南米の天候の影響も大きくなっています。南米の輸出量は世界全体の6割を占め、米国を超えています。南半球の春にあたる10月から作付けが始まり、年末から翌年2月にかけて開花、受粉、結実と進みます。
米農務省は2023年2月の穀物需給報告で、大豆の世界生産で1割を占めるアルゼンチンの22〜23年度の生産見通しを前月報告に比べ下方修正しました。現地の干ばつが背景です。ブラジルでも降雨で収穫が遅れるなどの観測が広がりました。米シカゴ市場の先物が買われる材料となりました。
天候に左右されやすい穀物の先物価格は、他の商品とは異なる動きをすることがあります。新型コロナウイルス禍やウクライナ危機を背景に安全資金の金などの人気が高まりましたが、相場変動が大きい天候相場期には穀物が投資対象として注目される傾向は続いています。