金ETFとは 金相場に連動する投資信託
キソから!投資アカデミー 商品⑬
金の上場投資信託(ETF)は、金相場に価格が連動するように運用される投資信託です。証券取引所に上場し、株式と同様に値動きをみながらリアルタイムで売買できます。地金(延べ棒)の現物売買と異なり、保管する手間が省けるのも特徴です。株式相場の先行きが読みにくいなか、株式と値動きが連動しにくいオルタナティブ(代替)投資として個人投資家の人気を集めています。

日本で代表的な金ETFが三菱UFJ信託銀行の「金の果実」です。2023年1月末時点の純資産残高は約2000億円と、ロシアのウクライナ侵攻前の21年末比で3割強増えました。ウクライナ危機の長期化や世界的な景気悪化への懸念を受け、安全資産としての金に投資したいとする個人のニーズを取り込んだ格好です。
現物の金を購入するのと異なるのは、金を自宅などに保管しなくて済む点です。また、「金の果実」はETFを現物の金といつでも交換することができます。
金ETFの買い手は機関投資家や富裕層から、一般の個人へと広がってきました。金ETFは確定拠出年金(DC)や少額投資非課税制度(NISA)を通して購入できるためです。
特にDC経由の資金流入は増加傾向にあり、「金の果実」の場合、残高の約25%がDCからのものとみられています。老後資金の確保が個人の間で話題となるなか、長期的な資産形成に向けた投資先の一つとして人気を集めています。
金ETFは、金の現物を価格の裏付けとしたものが主流です。発行会社はETFの残高に応じで現物を購入して保有することになるため、残高の増加は金の需給の引き締め要因となります。逆に金ETFの残高減少は金需給の緩和につながります。
金ETFは00年代前半にオーストラリア、英国、米国などの証券取引所に相次いで上場し、価格への影響力が高まりました。現物保管に手間がかかるため金投資に消極的だった年金基金や個人を中心に、オルタナティブ投資の一つとして注目が集まりました。
国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、世界の金ETFが価値の裏付けとして保有する金現物の残高は23年1月末時点で3400トン台と、10年前と比べ2割程度増えています。ウクライナ危機の長期化や世界的な景気悪化懸念を受け、安全資産とされる金への投資ニーズが高まったためです。
金ETF以外にもプラチナなどの価格に連動する貴金属ETFが存在します。日本ではプラチナ、銀、パラジウムに連動するETFがあります。これらの貴金属は産業用の用途も多く、金と値動きが異なる点に注意が必要です。
関連企業・業界