日銀、1月の国債購入額23兆円で最大 金利上昇に対応
日銀は1日、1月の国債購入額が23兆6902億円だったと発表した。決済日を基準とした月間購入額で22年6月の16兆2038億円を大幅に上回り、過去最大となった。日銀が12月に長期金利の上限を引き上げたことで、さらなる政策修正に動くとの観測が浮上。金利上昇を抑え込むための買い入れが膨らんだ。

日銀は長期金利をゼロ%程度に誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)のもとで国債を買い入れている。22年は世界でインフレが進み、米欧の中央銀行が利上げに動いた。日本でも金利上昇圧力が強まるなか、日銀は長期金利の指標となる10年物国債を大量に買い入れ、金利上昇を食い止めた。
その結果、長期金利の適正な水準がわからなくなり、企業の社債発行などに悪影響が広がった。日銀は12月、市場機能の低下を理由に長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げた。市場は政策修正を予想していなかったため、幅広い年限の金利が上昇した。12月の国債購入額は6月に次ぐ16兆1809億円に達した。
1月に入っても17〜18日の金融政策決定会合が近づくにつれ、日銀が政策を再び修正するとの見方から金利がさらに上昇。日銀は臨時の国債買い入れや、指定した利回りで国債を無制限に買う「指し値オペ」を連発した。政策の現状維持が決まると、長期金利はいったん低下したが、足元で再び上昇傾向にある。
日銀の国債保有割合も上昇している。QUICKによると、発行済みの長期国債に対する日銀の保有割合は1月20日時点で53.5%と過去最大を更新した。10年物国債の一部の銘柄では、日銀の保有割合が帳簿上の計算で100%を上回った。日銀が証券会社などに貸し出した国債が市場で取引された後、日銀に再び売却されている。
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