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30代医師ちゅり男さん、インデックス投資で「億り人」に

投信ブロガー

ブログ「神経内科医ちゅり男のブログ」を運営する「ちゅり男」さんは、愛知県内の総合病院に勤務する30代半ばの脳神経内科医。パートタイマーの妻と子ども2人とで賃貸マンションで暮らしている。

米国上場の上場投資信託(ETF)と投資信託をコツコツと積み立て、金融資産は1億円を超す額まで膨らんだ。成功の秘訣は、低コストのインデックス(指数連動)運用と支出の随時見直しだという。ブログではこれまで500人あまりからの質問を受けたそうだ。ちゅり男さんの資産運用を聞いた。

バイトでためた100万円で株式投資

――投資を始めたきっかけを教えてください。

「成人して証券会社の口座を自分で持てるようになったのがきっかけです。父親が日本株投資をしていたので、当時大学生だった15年前から株式投資を始めました。リーマン・ショックで株価が暴落した時には、個別株を5〜10銘柄ほど購入しました。元手はバイトをしてためた約100万円です」

「多くの株に分散投資する投信という商品があるのを知って、2010年からは毎月約3万円で投信の積み立て投資を始めました。最初は投信を何本か購入しましたが、米国上場のETFだと世界中の株に分散投資できるうえ、運用コストがさらに安いと知り、ETFに切り替えました」

ETFをメインにインデックス運用

――どのようなファンドに投資していますか。

「主に投資しているのは米国上場ETF4本と一般の投信5本で、すべて株式に投資するインデックスファンドです。手元に残しておく現金の額を決め、それ以外のお金はできるだけリスク資産のインデックスファンドの投資に回しています(図A)」

「今、保有額が最大なのは全世界の株式に投資する『VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)』です。確定申告には慣れているので、分配金に対する米国での課税額を取り戻す外国税額控除の手続きも面倒と感じたことはありません」

――非課税制度を利用していますか。

「家族4人全員が非課税制度を利用してファンドを購入しています。夫婦2人ともに、個人型確定拠出年金(iDeCo)と積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)をフルに使って、合わせて毎月5万6000円ずつ投資。2人の子どもの未成年向けジュニアNISAは児童手当や副業収入などを使って少額投資しています」

リスク資産が1億円超え

――投資成果を教えてください。

「商品によって異なりますが、過去15年間の運用成績は分配金を除いたリターンで大体プラス30~120%になりました。そのうち、14年ごろから始めたiDeCoの残高は約740万円でリターンはプラス70%程度、18年から始めたつみたてNISAは約230万円でプラス50%くらいのリターンです(22年2月末時点)」

「VTをはじめとするバンガードのETFは余剰資金ができ次第、毎月10万円以上追加購入してきました。米国株相場の上昇に恵まれたおかげで、それらを合わせたリスク資産の時価は1年前に1億円を超えました」

――目標リターンやリスクを意識していますか。

「全世界株の長期的な上昇を信じていますが、先のことは正確に読めないのでリターンはあまり意識していません。逆に、リスクに関しては最悪のケースで半値になる事態を覚悟しています。ただ、これまでリスク資産全体で大きく元本割れしたことはありません」

生活固定費の削減にこだわり

――こだわっている点はありますか。

「運用コストやETFの売買手数料はできるだけ安くなるようにしています。とりわけ、バンガードのETFは運用資産拡大に伴って信託報酬が低減してきたので、長期に安心して保有できると思っています」

「生活の固定費を削減して家計を効率的に改善するのも重視しています。家族全員の生活の質を落とさない範囲でなるべく無駄遣いは避け、住宅賃料などの固定費をできる限り抑えるようにしています」

「あまり重要でない出費は適宜見直しています。家計簿アプリを活用し、クレジットカードも1枚に集約して、毎月の生活費の内訳を簡単に把握できるよう工夫しています」

相場暴落で強くなったメンタリティー

――投資の失敗談や成功体験はありますか。

「リーマン・ショック時に底だろうと安易に考えて買った個別株はその後の株価下落に持ちこたえられず手放してしまいました。底値から持ち直したと思って株式を売却した後にさらに株価上昇したのであわてて買い直したこともあります。自分の予測をあてにせず株式市場に居続けることの大切さを身をもって経験しました」

「リーマン・ショックやチャイナ・ショック、コロナショックなど、いくつかの暴落を経験してリスクとうまく付き合うメンタリティーを鍛えることができました」

――資産運用の出口を意識していますか。

「まだ30代なので出口はあまり考えていません。ETFの分配金は米ドルのまま、全額再投資しています。毎月の定期収入があるうちは売却しないと思います。リタイアしたらETFの分配金を生活費に回すことなどを考えているくらいです」

500人あまりからの質問

――ブログを始めたきっかけを教えてください。

「最初は自分の覚書として始めました。大学院に進学した17年1月から、仕事の合間にブログを書くようになりました。徐々に読まれるようになったので、今はほぼ毎日書き込みを続けています」

「読者からの質問も増え、これまで500人あまりの方から質問を受けました。そのうち半数くらいの投資関連の問い合わせにはブログやメールで回答しています」

――これから投資を始める人たちにアドバイスを。

「書店に行けばインデックス投資に関する本が数多く並んでいますし、ブログやユーチューブなどで有益な情報を発信する個人が増えています。まずは、自分に合った複数の情報源を通じておススメの金融商品から選ぶのがよいと思います」

「ブログやツイッターなどのSNS(交流サイト)を通じて情報発信を続け、老後のお金の心配を減らすお手伝いができればと考えているので、ぜひ参考にしてください」

(QUICK資産運用研究所 聞き手は笹倉友香子、高瀬浩)

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