米金利2%接近、メタ株が恐怖指数化
米メタプラットフォームズ(旧フェイスブック)株価の下げに歯止めがかからない。週明け7日も5%以上下落した。
旧フェイスブックの初期の投資家の一人で2005年から取締役を務めていた富豪のピーター・ティール氏の突然の辞任のニュースも流れ、時間外でも弱含みである。同氏はトランプ氏の支持者で、中間選挙で共和党候補支援に専念する意向のようだ。同氏もメタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)も丁重なメッセージで、円満退社を示唆しているが、市場の心理的反応は複雑だ。ティール氏は米ペイパル・ホールディングスの共同創業者として、イーロン・マスク氏らとともに「ペイパル・マフィア」といわれるグループに関与したとされる。なにかと問題児扱いされたこともあり、突然の辞任には、様々な臆測が流れ、メタの株価も風評被害を受けやすい状況にある。
7日には、メタが欧州連合(EU)の規制で、欧州でのサービス断念か、との報道も流れた。
市場環境としては、米雇用統計後に米10年債利回りが1.9%を突破して、いよいよ2%の大台が視野に入っている。ハイテク株には、さらなる逆風が吹く。
そもそも、メタ株は個人共闘買いの投資家たちも含め幅広い層に買われ保有されている人気株ゆえ、市場心理を冷やす影響は無視できない。
株価底割れも想起させるような展開に、ウォール街では変動性指数(VIX)より具体的切迫感がある恐怖指数と気味悪がられている。
一方、ドル長期金利が2%を突破すると、どこまで上がるか。これも、もっぱら市場の話題だ。政策金利としては、米連邦準備理事会(FRB)がみる中立金利が2.5%とされる。リッチモンド連銀のバーキン総裁は3日の外電インタビューで、一般論と断ったうえで、政策金利は新型コロナウイルス前の水準である1.5%から1.75%の水準まで引き上げたうえで、点検して、さらなる政策対応が必要か否か決めるべきだ、と語っている。政策金利と連動性がある2年債利回りと、市場の景況感を映す10年債利回りとの長短金利差を示すイールドカーブの展開も重要な留意点になろう。
米国市場では、10年債利回りが2%の大台を超すと、歴史的な低金利環境では金利上昇余地も限定的となり、上昇速度もペースダウンするとの見解が目立つ。ただし、サマーズ元財務長官のように、FRB利上げが完全に遅きに失したとの強い批判もあり、対応遅れを取り戻すために、想定外の利上げを強いられるシナリオも一部には根強く残る。
このような市場環境ゆえ、足元でウクライナ情勢に劇的な展開が無ければ、10日発表の米消費者物価指数までは、様子見の姿勢が支配的である。

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