米FOMC前夜、逆イールド発生
日本時日14日午前中の「時間外」で米2年債利回りが3.40%、10年債が3.37%と長短金利逆転現象が生じている。
突如浮上した6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%幅利上げ説を市場は織り込み始めた。政策金利に連動する傾向が強い2年債利回りが急上昇している。対して、将来の景況感を映す10年債利回りは値動きが鈍い。市場では米国経済の景気後退(リセッション)入りの確率が50・50ともいわれる。6月0.75%幅の利上げについては、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、バークレイズ、ジェフリーズの4社が相次いで急きょ利上げ幅予測を引き上げた。FOMC直前に異例の修正だ。
やはり10日に発表された米消費者物価指数の前年同月比8.6%上昇が効いている。さらに同日にミシガン大学が発表した6月の消費者信頼感指数(速報値)が50.2と過去最低を記録したこともインフレ高進による消費者マインドの冷え込みを映す。
米国株価は10日、13日と連日大幅安を演じた。しかし、大手のファンドはひたすら現金ポジションを増やし、傍観姿勢を貫いている。4~6月期は米国金融政策の超緩和から超引き締めへの移行期ゆえ、米連邦準備理事会(FRB)の綱渡りを見守っているのだ。株式市場を荒らしているのは、「小物」とされるファンドがほとんどだ。論評にも値しない値動きゆえ、筆者もまともに市況をフォローせず、本コラムの更新間隔も空いた。
豊島逸夫(としま・いつお)

豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com

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