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逆イールドと記録的ドル高の共振現象

米景気減速か本格不況入りか。米国市場内での議論がヒートアップしているが、米連邦準備理事会(FRB)は断固として利上げと量的引き締め(QT)の合わせ技でインフレ退治を優先させる覚悟だ。

対して、欧州経済に関してはスタグフレーション懸念が払しょくできず、欧州中央銀行(ECB)は容易に利上げには踏み切れない。そして日銀は断固として緩和継続の姿勢を明確にしている。

結果的に外国為替市場ではユーロと円から米ドルにマネーの大移動が足元で加速。ドルインデックスがほぼ20年ぶりに108の大台を突破した。110を上回り120まで視野に入ると、いよいよ歴史的ドル高となる。そのような連想が絵空事と切って捨てられない市場環境である。

米債券市場では安全資産として米10年債が買われ、利回りは3%を割り込み2.97%まで下落。対して、政策金利に連動する傾向が強い2年債の利回りは3%を突破して3.04%まで上昇。

米国不況の前触れとされる逆イールド現象が常態化しつつある。それでも、ユーロや円に比べれば、米ドルは「まだマシな」安全通貨とされる。円が低リスク通貨との「神話」は過去の話となった。

さらに金の市場でも安全資産としての需要より超ドル高に反応する売りが勝り、国際価格は年初来の安値を更新中だ。その結果、安全性を求めるマネーの避難先は、ほぼ米ドルに集中傾向が続きそうである。

とはいえ、米経済にも悲観的な投資家からは米ドルが通貨のキング(王様)といわれるが、裸の王様ではないか。「通貨の大空位時代」というような表現が市場には流れる。駆け込み寺が火事になるごときリスクが回避できず、行き場を失ったマネーが太平洋と大西洋の沿岸を回遊している。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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