ゆうすけさん、結婚を機にインデックス投資に開眼
投信ブロガー
ブログ「資産運用リーマンブログ」を運営する「ゆうすけ」さんは、東証上場のIT関連会社でコンサルティング業務を担当している30代後半の男性。会社員の妻と子どもの家族3人で都内のマンション(住宅ローンあり)に暮らしている。
2021年1月から始めたブログでは、長期・積み立て・分散投資の視点で読み手に役立つような情報発信を心掛けているという。独身時代は貯金や資産運用とは縁遠かったが、結婚や妻の出産を経て考え方が180度変わり、「投資は必ずやったほうがいい」と話す。ゆうすけさんの資産運用に対する考え方を聞いた。
家庭をもって初めて資産形成を意識
――投資を始めたきっかけを教えてください。
「17年ごろから始めました。家庭をもったのがきっかけです。それまでは、日本は不景気だとさんざん聞かされ、社会人になってすぐのリーマン・ショックなどを目の当たりにしていたので、将来のことを考えるよりも今を楽しむことに精いっぱいでした」
「独身時代は給料が高くなく、お金は使うばかりでたまるはずもなく、『資産運用すれば明るい未来がある』という考えには及びませんでした」
「ところが結婚して考え方が変わりました。妻が家計にとても堅実だったこともあり、65歳までのライフプランを立ててみたところ、資金が全く足りないことが分かりショックを受けました」
「教育資金や老後資金のために資産形成しなければと意識し始めたころに妻が妊娠し、いよいよ焦り始めました。マネー誌や投資関連書籍などで本格的に資産運用の情報収集を開始しました」
最初は手数料やコストに気が回らず
――どのような投資から始めましたか。
「最初は一般型の少額投資非課税制度(NISA)で投資信託を毎月2万〜3万円ほど買っていました。リスクを抑えて長期的に資産を築くには、少額の定額で買い付け可能なドルコスト平均法が生きるので、投信の積み立て投資が最適だと判断したからです。ただ当時は、少額投資や日本株や外国株などへの資産分散だけを意識し、手数料や運用コストを気にすることはありませんでした」
「現在のリスク資産の配分は上場投資信託(ETF)を含む投信が60%、個別株が30%、暗号資産(仮想通貨)が10%です(23年1月末時点)」
「投信と個別株の地域配分はどちらも海外先進国株90%、日本株10%と、米国株を中心とした海外先進国株への投資比率を高くしています。世界経済は米国企業中心に成長すると考えているためです」
「積み立て型のつみたてNISAが18年に始まってすぐ一般NISAから切り替え、企業型確定拠出年金(DC)も活用しています」
入金力アップで資産1500万円に
「転職による収入増と家計の見直しで投資余力が増したので、現在は積立金額を毎月12万円に引き上げています。そのうち、個別株は日米の高配当銘柄を中心に毎月3万円ほどを買い時と判断したタイミングで購入し、仮想通貨は技術的に将来有望なものに限定して『長期・積み立て』の効用を期待し、毎月1万円ずつ積み立て投資中です」
「毎月の積み立てとは別に、子どもの教育資金用にジュニアNISAで年80万円を投資しています。投資開始時は結婚直後で預貯金すらほとんどない状態でしたが、現在の運用資産は元本約950万円に対し5割増しの1500万円ほどに増えています」
「現金は妻の分を除き、生活費の3カ月分ほどを常に確保しています。生活防衛費と投資の待機資金です。給与収入と社会保険があるので、病気、葬儀などで現金が突然必要になってもこれで足りるという考えです」
「妻も資産形成に関心を持つようになり、つみたてNISAで3万円ほど、ロボアドバイザーで1万円ほどをそれぞれ毎月積み立てています」
――購入しているのはどんなファンドですか。
「主にインデックスファンドです。長期になればなるほど、指数連動型のインデックスファンドの運用成績は、積極運用型のアクティブファンドに負けにくくなると考えています。加えて、購入時・売却時の手数料がともに不要で、信託報酬が低いインデックスファンドを選んでいます(図A)」

相場急落しても市場から退場せず
――資産運用をしてよかったですか。
「よかったです。資産が増えたことはもちろん、ブログを始めるきっかけにもなりましたし、さまざまな経済知識が身につき金融リテラシーも格段に向上しました。お金の使い道を吟味するようになり、投資金額をもっと増やしたいと仕事へのモチベーションも上がりました」
――失敗談や成功体験を教えてください。
「17年にビットコインを保有していましたが、転職時に生活資金が足りなくなり、半分ほど売却してしまいました。今は調整局面にあるとはいえ、現在も保有していれば当時の5〜10倍の価格になっていたと思うと惜しいことをしました」
「ただ、この経験があったので何度かの相場急落を経験しても市場からは退場しませんでした。その結果、資産が膨らんできたのは成功だと思っています。『長期で資産形成するなら下落はチャンス』という考えの下、株式相場が下がってもコツコツと投資を続けています」
自分の投資方針を明確に
――これから投資を始める人にアドバイスを。
「資産運用の知識を学びたいなら、まずは書籍を入り口にするのをおすすめします。そのうえで、自分の投資方針を明確にしていくと、おのずと資産形成の方法が選択できます。長期か短期か、リターンとリスクをどれだけ望むのか、投資に手間と時間をかけられるのかなど、自分の投資方針と似た投資家の情報も参考になります」
「私は30代半ばで投資を始めたので、20代から投資している方がうらやましいです。長く続けるほど元本が増え複利効果で資産が増える可能性が高まると思います。20代の独身時代ならリスク許容度が高く投資期間もより長くとれるので、失敗してもリカバリーしやすく、多少リスキーな投資経験も積めただろうと思うと、少し後悔しています。20〜30代の方はぜひ今のうちから投資にチャレンジしてみてほしいと思います」
(QUICK資産運用研究所 聞き手は西本ゆき、高瀬浩)