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いよいよFOMC、パウエル議長は何を語るか

25日の米国株式市場も、ダウ工業株30種平均は一時800ドル超急落したが、その後、急速に買い戻され、結局66ドル安で終えた。2日続けて荒い相場にさらされ、リスク回避症候群が市場内にまん延すると、あたかもリスクに対し集団免疫が獲得されたかのような錯覚に陥る。

そのような市場心理が支配するなかで、いよいよ日本時間27日朝の米連邦公開市場委員会(FOMC)後にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見が開催される。市場は利上げ年4回以上、0.5%刻みもと身構えるが、具体的に利上げ回数や量的引き締め(QT)の時期・規模にまで踏み込んで語ることは考えにくい。

3月利上げにしても、まだ、2カ月ほど先の事で「コミット」はできまい。その間に、雇用統計など重要経済指標の1、2月分が発表される。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」に新たな展開も予想される。

さらに筆者の注目は、バイデン政権の看板政策を盛り込んだ200兆円規模の財政支出案が、1人の造反議員により、暗礁に乗り上げていることだ。このままでは、金融政策引き締め・財政政策縮小という縮小均衡のポリシーミックスになってしまう。バイデン氏は、予算案を分割して、合意できる部分から議会を通す作戦のようだ。規模が大きい予算案ゆえ、個人消費・インフレ率などに影響を与えるので、利上げ議論に際しても無視できない。まずは3月まで経過観察が必要だ。最後は、「データ次第」との姿勢は今も変わらない。

パウエル氏は市場を混乱させることは、極力避ける方針ゆえ、政策変更があれば、機敏に市場へ伝えることにはコミットするであろう。

「全てのFOMC会合がライブだ」「リアルタイムで金融政策を運営する」などのパウエル氏発言語録を見るに、今回も、機動的に決めてゆく姿勢を強調するであろう。

さらに、パウエル氏が記者会見で語らなかったことが、後日公表されるFOMC議事要旨で明らかになる可能性にも留意が必要だ。前回の議事要旨で想定を超すFOMCのタカ派スタンスが確認され、市場にはサプライズとなった経緯もある。パウエル議長はFOMC内のハト派であるサンフランシスコ連銀デイリー総裁やミネアポリス連銀カシュカリ総裁らを、ごっそりタカ派陣営に取り込んでしまったようだ。今年に入りデイリー氏やカシュカリ氏は利上げ見通しの前倒しや早めの資産圧縮などについて発言し始めたからだ。FRB議長人事の議会承認のための公聴会でも、議員との質疑応答から、各議員と丁寧に根回し工作をしていたことが判然とした。

なお、債券市場の長短金利動向も重要だ。24、25日と米国株が連日、激しい価格変動を演じるなかで、利上げ視野の米債券市場では10年債利回りが1.7%台にとどまり、上昇は限定的であった。

その理由のひとつが、投資家の「リスクパリティー」戦略だ。ポートフォリオ内で、リスクの大きい株の割合を減らし、相対的にリスクの低い債券の運用配分を増やしたのだ。この結果、債券買いにより、10年債利回りには下落圧力がかかり、上昇が抑制された。この債券市場の冷静な動きが、株式市場のパニック的売りを鎮める効果もあった。

原油価格動向にもFRBは目が離せない。3月までに万が一ロシアによるウクライナ侵攻ともなれば、原油100ドルの突破は必至の情勢ゆえ、インフレ圧力が強まる。0.5%刻みの利上げの可能性が語られる理由の一つになっている。

かくして、1~3月は不透明要因が多い。1月26日の時点で3月を視野に語ることには限界があろう。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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