米株式相場、弱気相場入りから底入れまで平均213日
米株価が高値から弱気相場入りまで平均132日。さらに底入れまで213日かかる。23日はS&P500種株価指数の高値から97日目にあたる。この過程ではボラティリティーが高い日が続く。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがダウ・ジョーンズ・マーケットデータをもとに報じた米株式相場に関するこのデータが、23日のウォール街の話題になった。
特に今回は、米金融政策が超緩和から超引き締めへ短期間に急転換。そこに、新型コロナウイルス禍とウクライナ情勢、さらに台湾有事の可能性など特殊要因が同時進行するという歴史的局面だ。世界中で誰も先行きを正確に読めるはずもない。バタバタしても詮無きこと、との反応が目立った。
せっかく5月のニューヨークは年間で最も気候が良い時期だ。歌手ポール・サイモンは、ニューヨーカーの最大のぜいたくは、その5月に休暇をとること、と語ったものである。おりから、米国ではリベンジ旅行ブーム席巻中でもある。
「Sell in May and go away(5月に売って、旅行に出よう)」という有名な相場格言もあるが、今年はポジションを手じまって、旅行に出たい気分のようだ。
なお、現在の市場環境で注目すべきは、米長期金利の実質利回りが、長く続いたマイナス圏を脱して、プラス圏に入ってきたことであろう。年初1月3日にはマイナス0.97%であったが、5月23日にはプラス0.26%まで、ほぼ一貫して上昇している。これは株に逆風、債券に追い風となる。それゆえ、マネーは債券市場に流れる傾向が強まり、結果的に米10年物国債の名目利回りは3%の大台突破後、2.8%前後まで反落した。それでも、ゼロ金利環境に慣れ切った投資家には、悪くないリターンに映る。
いっぽうで、いまだ現金ポジションを増やす傾向も継続中だ。
4~6月期は模様眺めに徹するファンドも少なくない。
連日の米株価変動も日常茶飯事となると、まともな論評の対象にもなりにくいようだ。

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