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英トラス首相早変わり、円安抑制の思わぬ援軍に

突然の大型減税案発表で市場を揺らし、あっさり一部撤回して再び市場を揺らした英国新首相トラス氏。その「ちゃぶ台返し」が、巡り巡って、円高圧力となり、日銀には思わぬ援軍となった。

3日のロンドン市場では、「撤回」報道で、投げ売りされていた英国債が買い戻され、英国の金利は急落した。これが、ニューヨーク(NY)市場にも伝播(でんぱ)。先週は一時4%を突破していた米10年債利回りが、3.6%台まで続落した。外国為替市場では米インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出する主要通貨に対するドルの総合的な強さを示すドルインデックスが111台まで下落。対円では円高圧力となった。

3日には円安が新黒田ラインとされる1ドル=145円を突破したまま欧米市場に引き継がれ、NY市場では、円売り仕掛け人たちが「ホームグラウンド」で待ち受けていた。

しかし、思わぬ英国発ドル安の流れに、手をこまねく結果となった。

日銀対ヘッジファンドのせめぎ合いは仕切り直しといったところか。

なお、欧州金融大手クレディ・スイス・グループの財務不安観測も3日のドル金利安の一因となった。市場波乱回避のため米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)が利上げペースを鈍化させるとの連想が働いたのだ。同銀行の株価は4ドル前後の安値圏で推移している。最高経営責任者(CEO)が財務健全を示す数値を書き入れたとされる書類を入手したとか、あるいは、インベストメントバンキング部門社員の退職金は高額ゆえリストラ経費捻出のめどがたたないとか、様々な観測が飛び交った。

外為市場では信用不安が顕在化すると、安全通貨としてドルが買われる傾向もNY市場では顕著である。

なお、FRBの金融政策関連では、3回連続0.75%利上げの効果点検のため11月は利上げを1回休むべき(pauseボタンを押す)との少数意見も再度俎上(そじょう)に上った。米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数の悪化が、利上げ不況の兆しを想起させたからだ。

財務省・日銀の為替介入チームも、FRB高官発言には、引き続き注目せねばなるまい。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
YouTube豊島逸夫チャンネル
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com

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