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0.5%幅連続の米利上げ浮上、1ドル=130円視野

米消費者物価指数(CPI)発表を控えたニューヨーク市場で、5月、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%幅の利上げを連続して実施するシナリオが浮上している。その後は7月、9月、11月、12月のFOMCで0.25%幅利上げという構想だ。年末までには政策金利2%を目指す考えである。

今回のCPI上昇率も8%程度の数字が見込まれる。さらに、上海都市封鎖(ロックダウン)の影響がサプライサイド・インフレ加速新要因として意識されている。ニューヨーク連銀の月次調査では、消費者の1年後の期待インフレ率が6.6%と発表された。前月の6%から上昇している。

現時点ではCPI上昇率が8%水準なのに、実質的には超緩和政策が続いている。政策金利は0.25~0.5%で、やっとゼロ金利が解除された状況だ。ここは利上げ効果にタイムラグがあることも考慮したうえで、利上げサイクル初期の時点でインフレの頭をたたくごときインパクトが必要との認識だ。

11日にはウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が利上げを「ハンマー」に例え、「副次的影響が広がるインフレを力ずくで抑え込む」と極めて強い表現で語った。ワンツーパンチで勢いをそぐ発想である。

FRB高官発言としては、今や「絶滅危惧種」とさえいわれるハト派のエバンス・シカゴ地区連銀総裁が、タカ派寄りの発言に転換して注目された。同氏は先週8日の段階では「来年3月メドに0.5%幅利上げを否定しないが、私は楽観的で、状況を見つつじっくり決めればよい」とハト派らしい柔らかな表現で語っていた。それが、11日には「年内0.5%幅利上げの可能性が強い」と一転、タカ派寄りの発言に転換したのだ。

メスター・クリーブランド連銀総裁も、援護射撃。10日のCBS討論番組に生出演して、一般視聴者向けに分かりやすく利上げの必要性を説いた。

ちなみに、タカ派主導格のブラード・セントルイス連銀総裁は、年内3%超の利上げを主張している。同氏から昨年来繰り出されたタカ派的先行発言が相次いでFOMC内で主流となった経緯もあり、市場も無視できない。仮にそうなると、米国の通貨投機筋からは1ドル=130円視野の声も聞こえてくる。

本欄では、彼らのターゲットを2021年10月15日付で118円近くとしたが、それ以来、123円、127円と徐々に彼らのターゲット切り上げを記してきた。結果は、ほぼ連戦連勝。モメンタムに乗っている。「日銀は永遠のハト派」「サンキュー、ミスタークロダ」とのつぶやきも聞こえてくる。

当然、日銀の為替市場介入も予想されるので、連戦連勝の勢いにのるヘッジファンドと日銀のせめぎ合いも注目される。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

日経電子版マネー「豊島逸夫の金のつぶやき」でおなじみの筆者による日経マネームック最新刊です。

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