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マネー収縮時代を告げる無差別株売り

5月3~4日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、ニューヨーク(NY)市場では重要日程前の身辺整理のごときポジション巻き戻しが続いていた。

しかし、4月26日の米国株急落は次元が異なる。広範囲に及び、下げ幅も大きい。

長期的視野に立てば、今回のFOMCで予想される強力な引き締め策が、過剰流動性相場の終焉(しゅうえん)を告げるイベントとなりそうだ。これまでのカネ余りは「何でも上がる相場」を醸成したが、その反動がいよいよ現実化した感がある。市場には金融超緩和が誘発したバブル的買いポジションが蓄積して「ドカ雪」のごとく積み上がっていた。それが表層雪崩となり、無差別株売りと化した。人気の仮想通貨まで急落したことが示唆的だ。

逃避マネーがもっぱら米国債に流入して、10年債利回りは下落。将来の景況感を映す指標とされているので、改めて、長短金利縮小(イールドカーブの平たん化)が意識される。

大幅なマイナス圏に沈んでいたドルの実質金利も上昇基調で、プラス圏とマイナス圏を往来中だ。株などのリスク資産にはジワリ下げ圧力がかかる事象である。

そこで、プロの間ではキャッシュ・ポジションを大幅に増やす動きが目立つ。例えば、世界最大の資産運用会社ブラックロックのグローバル最高投資責任者(CIO)、リック・リーダー氏は現金保有を50%以上増やしていると明らかにしている。株価は今後2カ月から6カ月の期間、ボラティリティー(価格変動)が高い状態が続くとみている。一般投資家には「今はキャッシュポジションの居心地が良い。忍耐が大事」と説く。

そもそも景気減速感が漂うなかで、0.5%幅あるいは0.75%幅の連続大幅利上げとは前代未聞の政策急転換だ。インフレ対応に関して後手にまわったとの米連邦準備理事会(FRB)の焦りも感じられる。過剰流動性相場のときは「FRBには逆らうな」と言われたが、マネー収縮時代に入るや「FRBを疑え」が市場の合言葉となっている。

5月、6月、7月と3回連続で0.5%幅の利上げを強行して、FRBが遅まきながらインフレの頭をたたくシナリオが市場内では議論される。しかしパウエルFRB議長は「全てのFOMC会合がライブ」という表現で、各回ごとに次の一手をデータ次第で決めていくスタンスを明示している。市場は毎回、一喜一憂することになろう。投資家はシートベルトは低めにきつく締めて臨まねばならない。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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