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「お金で世の中に彩りを」 スパークスの清水氏

運用の達人

投資のプロの視点や信念は、資産形成に取り組む個人投資家にとってもヒントになる。今回は「スパークス・ジャパン・オープン」などの運用を担当する清水裕ファンドマネジャーに話を聞いた。スパークス・アセット・マネジメントでサステナブル投資チームのリーダーを務める清水氏は、2012年からESG(環境・社会・企業統治)を軸にした運用スタイルをとる。

スパークス・アセット・マネジメントの清水裕ファンドマネジャー

――運用における信念を教えてください。

「投資対象を選ぶときにはリターンの追求だけでなく、その企業の従業員や顧客、地域などビジネス全般に関わる人たちが幸せかどうかも重要です。私たちができるのは、より多くの人を幸せにするための企業努力や工夫をサポートすること。企業との対話を通じて、ステークホルダー(利害関係者)にとっての価値と経済価値の両立を目指しています」

――企業取材で重視するポイントは。

「その企業が投資家とのエンゲージメント(建設的な対話)に前向きかどうかです。面談は投資家側が一方的に情報収集するだけの場ではありません。対話に関する我々の方針を事前に明示し、お互いに気づきを得られる機会にしたいと企業側に伝えています。この考えを喜んで受け入れてくれる企業は建設的に議論しやすい傾向があります」

――SNS(交流サイト)で積極的に発信していますね。

「念頭に置いているのは、企業のIR(投資家向け広報)担当者です。ESGを考慮する投資家が何を考えているかをオープンにすることで、IR戦略の参考にしてほしいという思いから始めました。企業のESGへの積極的な取り組みとその情報開示の向上は、日本の市場活性化につながると期待しています」

――ファンドマネジャーに必要な資質は何ですか。

「感謝の気持ちを忘れないことです。ファンドマネジャーは受益者や投資先企業、一緒に働くメンバーとの関わりがあってこそ役割を果たせるので、常に謙虚な気持ちでいることを大切にしています。もう一つは独自性です。私の場合は福島県いわき市出身ということもあって東日本大震災をきっかけにESGに関心を持ち、当時はまだあまり認識されていなかった分野をがむしゃらに学んだことが強みになっています」

――仕事で特に気をつけていることはありますか。

「パフォーマンスは自分でコントロールできないところで良しあしが決まることもあり、それだけに対峙していると、運用者として精神のバランスを保つのが難しくなります。バランスが崩れると判断ミスにつながり、その結果、パフォーマンスも悪化しかねません。負のスパイラルに陥らないためにも、パフォーマンス以外の判断軸を持つようにしています。運用という仕事にはゴールがありませんが、そのプロセスが自分の好きなことと重なっているかどうか、世の中のためになっているかどうか、そういう内なる軸も大事にしています」

――今、注目している動きはありますか。

「サステナビリティー(持続可能性)に対する関心の高まりです。今年上半期にヒットした商品番付の記事で『サステナブル商品』がトップになり、日本の消費者にも環境や人権などへの配慮の意識が浸透しつつあることを実感しました。便利さや効率を重視してきたこれまでの価値観が変わり、サステナビリティーに対応した商品・サービスなら高い価格や納期の遅れといった不便さを受け入れる世の中になってきたのでしょう。消費者のマインドが変われば、企業のビジネスもおのずと変わるはずです。『お金に色はない』といわれますが、私はこの表現が好きではありません。これからは『お金で世の中に彩りを加えていく』という価値観の尺度が広まっていくのではと期待しています」

(QUICK資産運用研究所 望月瑞希)

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