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オミクロン出現後、初のパウエル氏発言 利上げ観測後退に一石

日本時間30日早朝に、米ニューヨーク(NY)時間30日に予定されているパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長議会証言の冒頭証言文が公表された。

注目点は新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」出現の米経済への影響に言及した部分だ。

まず「雇用と経済活動の下振れリスクとインフレに関する不確実性を高めている」と述べたうえで「ウイルスへの懸念が強まり、労働意欲が削がれ、労働市場の回復が遅れ、サプライチェーン混乱が増長される」とした。

原文の前半では「我々は、物価安定目標にコミットしている。経済と強い雇用を支え、高インフレの常態化を防ぐため、(金融政策の)ツールを動員する」との決意も語られている。

基本的に雇用と物価の2つの目標を両論併記しているが、オミクロン出現とサプライチェーン混乱・労働意欲後退を明確に関係づけた。

金融政策は供給制約を制御できないので、利上げか否か、危うい綱渡りを強いられるパウエル議長の悩みもにじむ。本番では、意地悪が少なくない議員たちから、様々な質問が投げられるので、日本流にいえば「察してくれ」と言いたげである。

「Fed(米中銀)を含む予測者の多くは、インフレが来年には鎮静化すると見ている」ものの「いまや(it now appears )」と文を改め、「供給制約の影響を予測することは難しい」と苦しい言い訳とも読める一節も入れている。

さらに、コストプッシュ型インフレに関する前半の部分で、インフレ長期化に関して、来年のかなりの期間にわたる(well into next year)と強く表現しており、オミクロン出現によるテーパリング(量的緩和の縮小)のペースダウンと利上げ後退の民間観測先走りをけん制した感もある。

パウエル氏は「Fedを含む予測者の多くは」と、ひとくくりに扱っているが、実際には民間の見方と米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の見方の間には認識ギャップがあるので、どちらに収れんしてゆくのか。インフレ目標達成に比べると、雇用面の労働参加率の進捗が低位安定傾向なので、まずは、今週発表の11月雇用統計が注目される。

競馬に例えれば、第4コーナーを曲がったところで、タカ派とハト派のせめぎ合いがヒートアップしそうだ。当面のゴールは12月14~15日のFOMCだが、レースは延長・再試合もあり、2022年1月のFOMC以降も続く。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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