/

セゾン投信が新たな挑戦 日本株ファンドの運用開始

投信観測所

ここ数年、若者を中心に米国株への投資ブームが巻き起こり、日本株の存在感が薄れている。そんななか、セゾン投信が15年ぶりに3本目となる「セゾン共創日本ファンド」の運用を2月1日から開始した。同社は国際分散投資ファンドで定評があり、日本株のアクティブ(積極運用)ファンドは初の試みとなる。当初設定額は13億円超と、運用会社が直接販売するファンドとしては順調な滑り出しだ。新ファンド設定の経緯や特色などについて、国内株式運用部長兼ポートフォリオマネージャーの山本潤氏に聞いた。

──なぜ日本株ファンドを立ち上げることになったのですか。

「日本企業には今ふたつのビジネスチャンスが到来していると考えています。ひとつは企業統治(コーポレートガバナンス)の高度化です。2018年ごろから本格的な改革が進み、ようやくグローバルの土俵に立てる水準になってきました。ガバナンスがしっかりしてこそ、まっとうな経営ができます。ガバナンスの高度化によって自己資本利益率(ROE)や投下資本利益率(ROIC)などの収益性指標が改善していけば、国際競争で勝てる筋肉質な企業に成長できると思います」

「ふたつ目は、ESG(環境・社会・企業統治)意識、特に環境への関心の高まりです。気候変動を抑えるため、世界的に温暖化ガスの排出量削減の取り組みが進んでいます。こうした潮流のなかで、既存のインフラを総入れ替えするような需要が出てきたことは、日本の企業にとって大きなビジネスチャンスです。なぜなら、ESGを進めるうえで競争の主戦場がコンピューターサイエンスからナノテクノロジー(超微細技術)の分野にシフトするからです。日本特有のアナログで泥臭い技術が必要となり、精密な計測技術や純度が高い製品を作れる日本企業に利があると考えています。コーポレートガバナンス改革とESGによる特需で日本株への投資チャンスが到来していると判断し、ファンドの立ち上げに至りました」

──どういった銘柄が投資対象となるのでしょうか。

「投資対象企業の選別にあたっては、高度人材とスケールメリットに着目しています。企業が成長していくには、高度人材が必要です。起業家精神にあふれ、IT(情報技術)エンジニアやバイオエンジニアなど研究開発ができる人材を確保し、新しい分野に永続的に投入できる企業が世界基準の成長を続けることができます」

「足もとではかつてないほど大企業と中小企業との資本力の格差が広がっています。グローバル企業がスケールメリットをいかしてどんどん拡大し、中小企業のシェアを奪っている現状があります。企業規模が大きければ価格交渉力があり、収益性も上がりやすい。ESGへの対応力もある。米巨大IT企業と比較すると、日本の大企業は中小企業レベルです。日本企業にはまだまだ成長の余地があるといえます」

──運用方針を教えてください。

「GARP(グロース・アット・リーズナブル・プライス)が基本で、成長の確信度が高く、割安感のある企業に投資します。投資先とエンゲージメント活動を通じてコーポレートガバナンスの高度化をはかりながら、企業価値の増大に貢献していきたいと考えています。ベンチマークはありませんが、ディフェンシブ銘柄も適度に組み入れるなどしてリスクを東証株価指数(TOPIX)並みに抑えつつ、中長期で企業の成長性を享受する運用を心がけます」

「成長性の観点からは、良質なテクノロジーを持つ企業をボトムアップ・リサーチにより選別します。良質なテクノロジーを持つ企業は安定した販売価格を維持しながら費用を下げることができ、収益を拡大していくトレンドがあります。運用とは『例外』を探す仕事です。『例外的に良い企業』を厳選して投資すれば、中長期的に大きなリターンを獲得できる可能性が高くなります。短期的なリターンを追い求めるのではなく、5年、10年先のゴールに向けた成果を目指します」

(QUICK資産運用研究所 平原武志)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン