22年の投資信託10大ニュース、1位は「NISA恒久化」 - 日本経済新聞
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22年の投信10大ニュース、1位は「NISA恒久化」

投信ランキング

ロシアのウクライナ侵攻や安倍晋三元首相の銃撃事件など、社会を震撼(しんかん)させるニュースが多かった2022年も残りわずかとなった。一方、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会での日本代表の活躍、インバウンド(訪日外国人)の回復など明るい話題も。そんななか、国内の投資信託市場で注目された今年のトピックについて、QUICK資産運用研究所が独自に選んだ「投信10大ニュース」で振り返る。

「資産所得倍増プラン」でNISA拡充

1位に選んだのは、少額投資非課税制度(NISA)の抜本的な拡充。岸田文雄首相が今年5月の訪英中に「資産所得倍増プラン」を打ち出し、その柱となるNISAの見直しに関心が集まった。政府・与党が12月16日にまとめた23年度与党税制改正大綱では、時限措置となっていたNISAを24年に恒久化し、非課税で投資できる期間を無期限にすることを正式に決定。生涯投資枠を設けたうえで、年間投資枠を大幅に拡大する。

金融庁が5~8月に公表した3つのリポートも話題になった(10大ニュースの2位)。複雑でリスクの高い仕組み債の問題点を厳しく指摘し、その後に販売停止へ動く金融機関が相次いだ。「資産運用業高度化プログレスレポート2022」では、ESG(環境・社会・企業統治)投信の「グリーンウオッシュ(見せかけだけの環境対応)」などにも言及。世界的な監視強化のなか、国内公募のESG関連ファンドの新規設定は急減した(同8位)。

米利上げで市場大荒れ

投信の運用環境に目を向けると、22年は多くのファンドが苦難を強いられた。米連邦準備理事会(FRB)が高インフレを抑え込むために急ピッチな利上げを進めたことで、世界の金融市場は大荒れとなった。特に打撃を受けたのは、新型コロナウイルス禍によるショックからの回復局面で圧倒的な運用成績を上げた海外グロース(成長)株ファンドだ。破壊的イノベーション銘柄への投資で一世を風靡した米アーク・インベストメント・マネジメントが助言するファンドや、SNS(交流サイト)発で話題になった通称「レバナス」(米ナスダック100株価指数に対して2倍の値動きを目指すファンド)などが大幅に下落した(同6位)。

米利上げの影響は外国為替市場にも波及し、円は10月下旬に1ドル=151円台と対ドルで32年ぶりの安値水準をつけた。為替ヘッジをせずに米ドル資産に投資するファンドにとっては、歴史的な円安がパフォーマンスを押し上げる方向に働いた。一方、為替ヘッジ付きのファンドはその恩恵を受けられず、むしろ為替ヘッジコストの上昇が重荷となった(同9位)。

インデックス型の存在感高まる

不安定な相場が続くなかでも、投資信託への資金流入は続いている。その背景には資産形成への意識が高まり、投信の積み立て投資が普及・拡大したことが大きい。若い世代の顧客開拓に力を入れてきた楽天証券は、8月に投信の積み立て設定額が1000億円を突破したことを発表した(同3位)。

投信の積み立てで人気が高いのは、低コストのインデックス型(指数連動型)ファンドだ。特に米国株や全世界株の指数に連動を目指す4本のファンドに人気が集中している。10月末の投信残高トップ10(上場投資信託=ETF=を除く国内公募追加型株式投信が対象)には、この4本が初めて同時にランクイン。インデックス型の存在感が着実に高まっている(同7位)。運用会社別では、低コストのインデックス型ファンドシリーズ「eMAXIS Slim」を運用する三菱UFJ国際投信が残高を伸ばし、10月末に野村アセットマネジメントを抜いて投信残高首位(ETFを除く)に立つなど(同10位)、22年は投信市場にとって変化の多い年だった。

(QUICK資産運用研究所 石井輝尚)

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