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日中外相が初会談 林外相、拘束邦人の早期解放要求

李強首相とも初の面会

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【北京=根本涼】林芳正外相は2日、北京で中国の秦剛国務委員兼外相と会談した。両氏の対面の協議は就任後初めて。3月に北京で日本人男性が拘束されたことに抗議し、早期解放を求めた。韓国を交えた3カ国の首脳や外相らの協議の枠組みを再び動かす方針を申し合わせた。

林氏は3月に就任した李強(リー・チャン)首相と日本の閣僚で初めて面会し、日本人解放を働きかけた。首脳間を含むあらゆるレベルで緊密に意思疎通を継続することの重要性で一致した。日中には沖縄県の尖閣諸島や台湾などを巡り緊張がある。

外交担当トップの王毅(ワン・イー)共産党政治局員とも会った。

林氏は外相会談で透明で公平なビジネス環境確保を要請した。海外企業への技術移転強制に憂慮も示した。日本人拘束に関し、領事による面会や司法プロセスの透明性を要求した。

中国外務省によると秦氏は「中国は法律にのっとって対処する」と強調した。

韓国を交えた枠組みの重要性も確かめた。首脳級の「日中韓サミット」は2019年12月以来開かれていない。岸田文雄首相と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3月に会談し、日韓が関係修復の局面に転じたのを踏まえた。

林氏は台湾海峡の平和と安定の重要性にも触れた。ロシアの連携も含め、中国の軍事活動の活発化などに「深刻な懸念」を伝えた。秦氏は「台湾問題に干渉したり中国の主権を損なったりしてはならない」と反発した。

両氏は防衛当局間を緊急時に結ぶ「ホットライン」の専用回線の設置が完了したことを歓迎した。運用開始へ調整する。自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を避けるために意思疎通の手段を築く。

ロシアによるウクライナ侵攻を巡っては林氏が中国に「平和と安全の維持に責任ある役割を果たす」よう促した。岸田首相がウクライナを訪問したと紹介した。東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に関連し、中国側の対外発信に抗議した。

岸田政権が21年10月に発足して以降、閣僚が中国を訪れるのは初めてだ。首相は22年11月、タイで就任後初めて習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談した。林氏の訪中調整で一致した。

3月に拘束された男性はアステラス製薬の現地法人の50歳代の社員で、中国で20年を超す勤務経験がある。中国側は国内の反スパイ法などに違反した疑いがあると説明している。

中国でビジネスを展開する日本企業で現地での駐在、事業展開への懸念が広がる。中国が14年に反スパイ法を施行してから拘束された日本人は少なくとも17人にのぼる。

中国軍は22年8月に台湾周辺で軍事演習し、弾道ミサイルを日本の排他的経済水域(EEZ)内に撃ち込んだ。

中国海警局船が尖閣諸島周辺の接続水域を航行するのは22年に336日で過去最多となった。中国とロシア両軍の爆撃機の共同飛行なども相次ぐ。

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