電気代支援、1月使用分から 請求書に値引き額

政府による電気・都市ガス料金の負担軽減策が始まり、2月1日以降、実際の値引き額が各家庭で確認できるようになる。政府の対策により、家庭向けの電気代は1月使用分の料金から1キロワット時あたり7円が値引きされる。1月分の料金は2月の検針で確定する。小売り各社は検針票や請求書を通じて値引き額を示す。
政府は標準世帯として電気で月400キロワット時、都市ガスで月30立方メートルの使用量を例示している。この場合、電気代は2割に相当する月2800円の値引きとなる。都市ガスは1立方メートルあたり30円を支援するため、900円が引かれる。企業向けの「高圧」の電気料金は1キロワット時あたり3.5円を値引く。
家庭での手続きは特に必要なく、値引き後の金額で請求される。支援は1月分から9月分までで、9月分は支援額が半分になる。2022年度第2次補正予算で3.1兆円を計上した。
東京電力エナジーパートナーの場合、燃料価格の輸入コストの変動を毎月の電気料金に反映させる「燃料費調整単価」の項目に7円の値引きを反映させる。22年12月分は1キロワット時あたり5.13円だったが、1月分は7円引くためマイナス1.87円となる。明細書には値引きされた後の料金を記載する。

一方、大手電力会社10社のうち7社が電気料金の値上げを経済産業省に申請した。同省による審査や認可が必要な家庭向け料金プランで、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力はそれぞれ4月から、東京電力ホールディングス(HD)と北海道電力はそれぞれ6月からの値上げをめざしている。
火力発電に使う化石燃料が高騰しているためだ。各社は28.08〜45.84%の範囲で値上げを申請した。経産省は審査を通じて圧縮をめざす。3月以降に値上げ幅が順次、固まる見通し。
政府は春以降の値上げを見越して早期に支援を始めたが、激変緩和との位置づけで、相殺しきれない可能性が高い。仮に東電HDが申請通りに値上げした場合、月260キロワット時使うモデル家庭の料金は月2611円上がる。政府支援は1820円で800円程度の負担増になる。
岸田文雄首相は1月30日の衆院予算委員会で追加の支援策について言及し「必要な対応ならちゅうちょなく取り組んでいきたい」と述べた。
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