貿易保険、ロシア料率上げ OECDが格付け最低に - 日本経済新聞
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貿易保険、ロシア料率上げ OECDが格付け最低に

(更新)

経済協力開発機構(OECD)は企業が海外取引で生じる損失を補償する貿易保険について、ウクライナへの侵攻を続けるロシアのリスク評価を最低レベルに格下げした。これに伴い日欧などの輸出信用機関が一斉に評価を引き下げ、一部は保険料率を引き上げた。金融制裁による送金制限やインフレなどのリスク増大に対応する。

貿易保険は企業の輸出や投資、融資などの海外取引で生じる損失を補償する。各国の政府系の輸出信用機関が運用している。民間の保険会社ではカバーしきれないリスクも補償する。

OECDは3月中旬に専門家会合を開き、ロシアとベラルーシの信用評価(0~7)を最低レベルの7に格下げした。それまでロシアは4、ベラルーシは6だった。2014年にロシアが一方的にクリミア半島を編入した際も3から4に格下げしたが、今回はより大きな引き下げとなった。OECDの規定に基づき、各国の輸出信用機関に評価の変更を求めた。

政府が全額出資する日本貿易保険(NEXI)は3月22日からロシアとベラルーシを最低レベルに格下げした。信用が高い順にAからHまで8段階でロシアはEからHに、ベラルーシはGからHに落とした。北朝鮮やパキスタン並みの評価になる。

格下げに伴い保険料率も変わる。例えば輸出契約ごとにかける保険の場合、料率は1.737%から2.169%に上がる。決済期間が60日の100万円規模の輸出契約なら保険料は1万円から約2万6000円に上がる。中小企業向けは1.045%が1.642%になる。大規模な出資などはH評価だと保険を引き受けない場合がある。

経済産業省によると1月のロシア向けの輸出や融資などを含めた貿易保険の引受額は2880億円だった。ロシアとの取引に保険をかけている企業にとっては負担が増えるが、金融制裁による送金制限やインフレ、通貨急落などのリスク増大に対応する。

国際協力銀行(JBIC)も3月18日から両国向け融資のリスクプレミアムを最高水準に引きあげた。ロシアは料率が7.15%から16.52%にあがる。

オランダ、スイス、フィンランド、ベルギーなどの輸出信用機関も格付けを最低にしたと公表した。米国や英国、カナダは3月末、ロシアとベラルーシを輸出先とする国内企業向けの新たな輸出金融支援を停止すると表明している。

保険料は輸出先国・地域と取引先企業の信用度などから設定する。信用評価は「カントリーリスク」とよばれ、OECDが基準を作っている。債務支払い状況や経済・金融情勢などの要素から0~7で評価する。数字が大きいほどリスクが高く、保険料もあがる。

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